●衣替えの歴史

衣替えの習慣は、宮中の行事として始まったものです。
この時代の皇族・貴族は、何かにつけて「もののあはれ」を重んじていました。当然衣替えにおいても、体温調節や健康管理のためだけに行うものではなく、四季の変化を愛でるという目的で行われた部分も大きいです。実際、当時の文学作品からは、当時の人々のこうした美意識がうかがわれます。なので、その後も四季の変化を楽しむという目的は残り続け、特に着物においては そのような傾向が強いのです。

また、当時は今と違い、旧暦の4月1日と10月1日に行われていました。　
江戸時代の武家社会からは、4月1日から5月4日と、9月1日から9月8日までは袷「あわせ」(裏地付きの着物)、5月5日から8月末日までは帷子「かたびら」(裏地なしの単仕立ての着物)、9月9日から3月末日までは綿入れ(表布と裏布の間に綿を入れた着物)の着用を定められていました。 そのため年4回、衣替えをしていました。

衣替えが6月1日と10月1日になったのは明治以降で、学校や官公庁、銀行など制服を着用する所では、現在もほとんどのところでこの日に行われています。

衣替えの歴史そのものは、1000年前後続いているものと思われます。歴史の中でいろいろ形を変えてきました。
鎌倉時代になると調度品も替えたり、江戸時代になると着物の種類も増え、庶民にも衣替えが広まったり。
明治時代になると、洋装が広がり、現在とほぼ同じ形態となりました。衣替えの歴史は、同時に衣服の歴史でもあるのですね。

●衣替えと衣類の収納

●衣替えとクリーニング

衣替え完了後は、シーズンオフの衣類は長期保管になりますが、その際にはしっかりクリーニングしておいたほうがいいです！
衣替えのときだけに限ったことではありませんが、衣類をクリーニングするのは、清潔な状態に保つためだけではありません。特に衣替え後の長期保存においては、「着るときにまた洗えば…」と考える人もいるかもしれませんが、汚れたままだと黄ばみや臭いなどの原因になったり するので、一度でも着た衣服はクリーニングした方がいいでしょう。

衣替えの後にドライクリーニングに出すものといったら、まずはジャケットやコートといったアウターが挙げられます。たしかにこうした衣類は他の衣類と比べると高価ですから、プロに任せるのが無難ですが…ドライクリーニングに出したからといって、全く安心というわけでもありません。出来上がったものをそのまま次の衣替えまで仕舞い込んでいる人も少なくないようですが、これはＮＧなのです！
クリーニングのトラブル（ボタンがない、シミができている、穴があいている、など）は結構多いです。また、ビニールをかけたまま保管すると、袋の中のガスによって変色することも！クリーニングが終わったらすぐに袋から出してチェックしましょう！

上記のトラブルは、「特殊なボタンや装飾品は外してから出す」「ほつれや破れは直してから出す」「あらかじめシミや汚れの状態や原因を伝えておく」といった措置によって回避できることもあります。
また、受け取った衣類をその場でチェックするということで、お店によっては賠償してもらえることもあります。衣替えの際のクリーニング、失敗のないようにしたいものです。

●衣替えのコツ！