工事現場の交通誘導を主に行っている警備業者のT社は、新たに福祉コミュニケーションシステムを導入し、緊急即時通報サービスを開始し、地域の高齢者支援活動組織の業務請負や、企業との業務提携による福利厚生の福祉事業へ参入した。また、緊急通報の付帯サービスとして定期訪問や生活相談等を開始することで会員情報を蓄積し、サービス内容の充実を図っている。
カーエアコンの取り付け・修理業のH社は、大口顧客であったトラックへのエアコン搭載・修理需要が大きく減少したため、ピット式の多目的車検機を開発した。この車検機により自動車1台を 検査するのに必要な人員を3人に減らし、一度の 検査に必要な時間も通常の60分から15分程度に短縮するとともに、費用も通常の4分の1程度にすることができた。この製品をGSに販売したところ、順調に車検台数が増加し、新聞紙上にも取り上げられた。今後はタイヤ販売店やカー用品店等にも行うとともに、メンテナンス技術者を増強しながら、新規顧客獲得を図っている。
ファミリーレストラン・チェーンを経営するD社では、従来、それぞれの店舗が食材の仕入れから事前の下ごしらえまで個別に行い、顧客からの注文を受けて調理するシステムをとっていた。しかし、まとめ買いによる一括仕入の方がコスト的に安く、また、下ごしらえも調理人が自ら行うより集中処理した方が効率的で、顧客の待ち時間短縮によるサービス改善にもつながると判断し、セントラルキッチンを設置して半調理した食材をそれぞれの店舗に供給する方式に変更した。これにより、仕入コストの削減 が可能となったほか、顧客へのサービス改善が図られ、客席回転率も高まって売上の増加を達成している。
一般製材業のE社は、これまで商社から外材の原木を仕入れていたが、稼動していた切削ラインは一定の形質、径級に対応したものであるため、原木がコスト高となり、採算は悪化していた。このため、同社では従来の切削ラインを見直し、異業種である木工機械メーカーとの共同により、ツインバンドソーによる曲がり材の加工システム(高歩留まり)を開発・導入するとともに、生産方式に基づいた規模、工場のレイアウトの配置見直しを図った。これにより、地域における様々な径級の原木や曲がり材についても 加工が可能となり、原木仕入れコストの削減、製品の売上の確保を達成し、市況の悪化に耐えられる企業体質に改善することができた。