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06:2001/02


キャッシュフロー会計の概要

 

(1)キャッシュフロー会計の意義
キャッシュフロー会計とは、キャッシュの範囲に含めた資産(現金・預金)の流れを計算するもので現金・預金が流出したらキャッシュのマイナス・流入したらプラスと表現します。従って要素は、インフローとアウトフローの二つしかありませんから、この二つの要素をいかにとらえるかが、キャッシュフロー会計のポイントです。2000年よりキャッシュフロー会計を導入した本当の重要性は、損益中心主義だった経営の考え方をキャッシュフロー(資金の流れを計算する考え方)を重視する仕組みに改める事にあります。
(2)キャッシュフロー会計の三区分
1)営業活動によるキャッシュフロー
 営業活動によるキャッシュフローは、会社の主な経常的な活動である営業行為から生まれる資金収支が中心になります。営業活動とは、簡単に言えば。会社本来の目的である「モノを手に入れて、生産し販売する活動です。」営業活動によるキャッシュフローは、このように会社事業の活動から得られる資金収支ですから、一番基本となるもので、事業が好調であれば、当然、営業キャッシュフローはプラスになります。従って、営業キャッシュフローがマイナスと言う事は、本業である営業活動がうまくいっていないと言う事ですから、非常にきびしい評価をされています。
2)投資活動によるキャッシュフロー
 投資活動によるキャッシュフローとは、会社の投資活動から生じる資金収支です。投資活動とは、通常は設備投資が中心となりますが、土地や建物の売却・株式購入や貸付による支出・商標権や営業権などの無形固定資産の取得による支出等があります。従って、投資キャッシュフローは、会社の今後の成長性とか、経営戦略の動向などを知る上で重要な情報源となります。
3)財務活動によるキャッシュフロー
 企業の基本的活動である営業活動と投資活動で資金が不足した場合は、これをどのように穴埋めしたか、逆に資金の余りがあれば、これをどのように使ったかを示すのが財務資金収支です。つまり、設備投資を積極的に進め、資金が足りなくなれば、その手当てのため銀行からの借入を増やしたり、社債を発行したり増資などして資金を確保します。このような活動が、財務活動で、この資金の入りと出が、財務活動によるキャッシュフローという事になります。従って財務キャッシュフローを見れば、その会社がどのような財務行動を起こしたかを把握する事ができます。
(3)キャッシュフロー分析指標の内容
@ 

キャッシュフローマージン率は、損益計算書の売上経常利益率に該当し、営業活動による売上高の何%をキャッシュで獲得したかを見るものです。従って、この割合が高ければ高いほど効率的な資金化が行われた事を示します。
A 

利益構成比率は、営業キャッシュフローにおける利益と減価償却費の割合を見るもので、この比率が50%を超えると営業キャッシュフローが利益の変動による影響を受けやすい構造である事を示しています。従って、利益構成比率が低い方が安定的なキャッシュフローを見込める体質であると言えます。
B 

この比率は、投資全体のキャッシュフローを営業キャッシュフローでまかなえているかどうかを見る時に使います。この比率が100%以上ならば営業キャッシュフローで投資全体がまかなえていることを示しますが、100%未満だと手元資金を取り崩しているか新たに資金調達をしている事を示しています。
C 

この比率は、企業の営業活動、投資活動の結果、資金が流出した額が売上に対してどれくらいの割合になるかを示しています。従って、売上に対してどれくらいの資金調達が必要であるかを示している訳で、この割合が高ければ高いほど借入れ依存度が小さい事になります。
D 

この比率は、営業活動によるキャッシュフローで、どれだけの流動負債をまかなっているかを示している指標です。従って、この比率が高いほど安全性が高いという事になります。キャッシュでまかなえる流動負債の割合を示すわけですから不況時の抵抗力のバロメーターとなります。
E 

この比率は、長期負債(長期借入金・長期支払手形・長期未払金等)を営業キャッシュフローでまかなう事ができるのかを示す指標です。つまり、この比率が100%以上であれば、営業活動で得られるキャッシュで十分に長期負債を返済できる能力がある事を示しています。従って、この比率が40%であれば1÷0.4=2.5ですから返済が2年半かかる事を意味します。
F 

これは、金融費用の負担能力を見る指標で、この倍率が高いほど利息支払に余裕がある事を示します。つまり、稼いだ営業キャッシュフローのほとんどが支払金利に流れてしまうような結果では、財務状態が好ましいとは言えないという事です。
G 

これは、営業活動の成果として稼いだキャッシュフローが発行済株式一株当りいくらになるかを示す指標です。一株当りのキャッシュフローが高ければ高いほど、株価が高い事になります。従って、今後の株価を占うにあたっては、1株当たりのキャッシュフローの伸びがどのような推移をしてきたかを見れば良い事になります。
H 

これは、営業キャッシュフローのうちどれくらいの割合が、配当の支払に当てられるかを見る指標です。この比率が低いという事は、キャッシュの流出を抑えて内部留保を図っているという事になります。

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