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09:2001/02 |
養殖業経営における財務データのチェックポイント |
(1)養殖業経営の原価管理のポイント | ||
@魚種別原価計算 | ||
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イ. |
魚種別に直接把握できる費用(直接材料費、直接労務費、直接経費) 魚種別に直接認識できる費用(直接費)は、投下した費用を魚種別の原価として集計する。例えば、稚魚仕入、飼料費、薬品費、特定の魚の飼育に従事する社員の人件費等がある。 |
ロ. |
魚種別に直接把握できない費用(間接材料費、間接労務費、間接経費)共通費については、それぞれ費用毎に把握した期間費用(1ヶ月又は、一年間の合計額)を適当な配賦基準によって魚種別に配賦する。 なお、間接費の配賦基準については、直接原価、作業時間、生産数量、出荷数量等の合理的な基準を選択する。 |
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A 魚種別原価計算表 |
魚種別 項目 |
ブ リ |
ハマチ |
カンパチ |
タ イ |
フ グ |
合 計 |
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直 接 費 |
材料費 |
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労務費 |
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経 費 |
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間 接 費 |
材料費 |
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労務費 |
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経 費 |
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当期総製造費用 |
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期首育成原価 |
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期末育成原価 |
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当期育成原価 |
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注1 | 期末育成原価=(期首育成原価+当期製造費用)× |
期末在庫数量 |
総出荷数量+期末在庫数量 |
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(上記の計算は総平均法を採用した場合の評価方法です) |
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注2 | 当期育成原価=期首育成原価+当期総製造費用−期末育成原価 | ||
注3 | 原価データの資料さえ収集できれば、イケス毎の原価計算も可能です。 | ||
B養殖業の原価管理のポイント |
イ. 管理しやすい原価、しにくい原価を見分ける | ||||||||||
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@ 一番管理しやすい | |||||||||
A 比較的管理しやすい | ||||||||||
B やや管理しにくい | ||||||||||
C 一番管理しにくい |
ロ. 材料費分析で、エサの種類、エサの作り方、エサの給与量等を見分ける | |
@ |
飼料費のデータ(水温と給与量等)から、エサの無駄食いとロスを管理する。 |
A | 給餌量表を付ける事により、育成状況と出荷時期を予測し、相場の変動をコントロールする。 |
B | 稚魚についても、仕入時期や仕入稚魚の種類と大きさ、購入単価のデータを取る事によって、買い方を工夫し、仕入単価の軽減をはかる |
ハ. 労務費分析で、魚毎の養殖仕様や作業方法を見分ける | |
@ |
作業の手順をマニュアル化する(省力とは上手に手をかけること) |
A | 魚毎の養殖仕様を現在よりシンプルにして、手間をかける時間を減らし、労務費の軽減をはかる |
ニ. 経費分析で水質管理、病気対策を見分ける | |
@ |
不良品(魚の死亡率)を減らし、歩留率を高めるために、水質の状況やイケス毎の魚量を生育状況に応じて管理する。歩留率の最も良い状況はどの程度の魚量なのか、魚毎、大きさ毎にデータを取るべきであり、その場合の餌の量、水温等のデータをとるようにする。 |
A | 衛生管理についても、薬代で損していないか分析すべきである。特に新薬や総合薬は効き目が疑問視されているので、注意を要する。とにかく、投下した薬とその結果を薬の種類毎、魚毎、時期毎にデータに残すべきである。 |
(2)魚種別変動損益計算書の分析のポイント | |
イ. |
飼料生産性から、育成費用(市場価格等の外部費用に左右されやすいが)の善し悪しを見る。 |
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@ |
出荷キロ当り変動費率= |
出荷キロ変動費(注1) |
出荷キロ単価(注2) |
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(注1) 出荷キロ変動費率= |
変動費 |
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総出荷キロ数 |
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(注2) 出荷キロ単価= |
売上高 |
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総出荷キロ数 |
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A |
餌効率= |
総生産量 |
餌投入量 |
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B |
飼料費率= |
飼料費 |
売上高 |
ロ. |
労働生産性から、労働の経営効率を見る |
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@ |
一人当り売上高= |
売上高 |
平均従事員数 |
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A |
一人当り付加価値= |
限界利益 |
平均従事員数 |
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B |
労働分配率= |
人件費 |
限界利益 |
ハ. |
設備生産性から、イケス、船舶、養殖設備等の使い方の善し悪しを見る |
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@ |
労働装備高= |
平均有形固定資産価額 |
平均従事員数 |
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A |
設備加工率= |
限界利益 |
平均有形固定資産価額 |
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B |
償却分配率= |
減価償却費 |
限界利益 |
ニ. |
販売生産性から販売技術(販売先選別と出荷時期)を見る |
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@ |
販売費率= | 販売費(広告宣伝費+容器包装費+発送配達費+ |
販売手数料+出荷諸経費+接待交際費) |
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限界利益 |
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A |
キロ当り限界利益率= |
限界利益 |
総出荷キロ数 |
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B |
自己資本営業利益率= |
営業利益 |
自己資本 |
ホ.プロダクト・ミックス・プランニング | |
@ |
目標利益を達成するためのプロダクト・ラインはどのようにあるべきか。 |
A | 目標利益を達成するための魚種別、イケス別の必要売上高、必要生産量、必要変動費、必要固定費はどの程度か。 |
B | エサの種類、エサの給与量、エサを与える時期、選別時期、出荷時期等の変更は、利益、損益分岐点にどのような影響を及ぼすか。 |
C | プロダクト・ラインあるいは販売地域などの各セグメントは、それぞれの会社全体の利益にどのように貢献しているか。 |
D | 予測される将来の企業環境に対して、企業の経営活動の方向性(新魚種の開発、魚種の多角化、作業設備等)を明らかにする。 |
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