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25:2004/3

旅館業のデータ管理のポイント

T.はじめに
 旅館業の計算書類(損益計算書や貸借対照表等)から、何を読み取り、読み取ったデータから何を経営に活かして使うかは、企業として、あるいは経営者として必ずチェックしなければならない管理項目です。財務上の収益性、生産性、安全性、成長性等のデータはもちろん、必要な会計数値は、理解しておかなければなりません。そこで、今回、旅館業者が抑えておくべきデータ項目のポイントを見る事にしましょう。
 
U.財務データ以外の数値
 

財務データ(収益性、生産性、安全性、成長性等のデータ)以外で旅館業者が抑えておきたい項目は以下の通りです。

1)客室稼動率
客室稼動率は、使用客室数を保有全客室数で割った値です。高いほど良い訳で、この値が50%ということであれば、半分しか売れていない事になります。

2)定員稼動率
定員稼動率とは、宿泊客数を宿泊定員数で割った値です。客室が稼動していても、何名泊まって頂いているのかの割合を知る事は重要です。

3)客室実収率
客室実収率は、実際の客室収入を保有全客室が100%売れた場合の客室総収入額で割った値です。これは、稼動率に見合う収入があがっているかを見るもので、「割引販売」等が行われておれば、稼動率を下回る事になります。

4)客室実効率
客室実効率は、客室実収率を客室稼動率で割った値です。文字通り、客室が「実際には、どの程度の効率で」販売されたかを見るための指標です。

5) lang="EN-US">1室当たり室料
1室当たり室料は、客室収入を販売客室数で割った値で、1室で平均幾らの売上があったかを見る指標です。

6)1人当たり室料
1人当たりの室料は、客室収入を宿泊人員で割った値で、宿泊客1人当たり、平均で幾らの室料を払ったかを見る指標です。


 

V.旅行業の原価管理
 旅館業では、室料収入と飲料収入とは、区分経理するのが常識です。この収入の区分経理を前提として、料理原価と飲料原価を計算し「業界の平均値」や「同業他社の原価率」と比較して自社の良し悪しを知る事は重要です。この場合の @飲料原価と飲料収入との比率 A飲料原価と総収入との比率 B料理原価と飲料原価との割合等を同業他社のそれと比較するのも自社の傾向を読み取る事が出来ます。

 

W.旅館業の資金管理
 サービス業である旅館業が「資金不足」に陥る原因の一つは「売掛金の未回収」です。どんなに客室の稼動率が上がっても婚礼や一般の宴会件数が増えても、その売上が未回収では資金繰りは苦しくなります。従って、資金管理表(売掛金回収一覧表)を作成して、売掛金の早期回収を図りましょう。もう一つの原因は設備投資です。旅館業は物的設備のリニューアルは避けて通れません。ただし、どんなに高度で便利な設備に切り換えたからといって、すぐに売上に結びつく訳ではありません。まず、「資金繰りの見込み(販売の見込み)」を立て、能力に応じた(資金繰りに無理のない)範囲内で実行し「売上の伸び率」「客室稼動率の見込み」等は必ずといって「悪い方に狂うもの」と考えて、固めの資金計画を立てましょう。

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