T.はじめに |
養豚業は、
- 他から仔豚を購入して、肉豚としてこれを出荷する(肉豚の肥育)
- 自己所有の繁殖豚から仔豚を生産し、出荷する(仔豚の生産)
- 他の生産農家から預かった豚を肥育する
- 自己所有の繁殖豚から仔豚を生産し、肉豚として肥育し、出荷するという一貫経営等
さまざまな経営形態が考えられるが、どのような経営形態を取るにしても、出荷頭数当りの原価が把握できないと経営意志決定のための計数情報は提供できません。従って、養豚業で管理すべき計数データは、まず、原価管理に必要な原価データを計算する事から始まります。
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U.原価計算の基本的な考え方 |
原価管理は、財務データを基にした生産原価(コスト)を測定する事で、分娩率、離乳率、飼料要求率、回転率等の経営効率を把握する事にあります。この生産原価を測定する仕組みは原価計算ですが、この原価計算の基本的な考え方は以下の通りです。
- 育成原価の費目別計算
豚の育成に直接要した仕入高、飼料費、薬品費、人件費、消耗品費等の主たる原価要素を実際の発生額に従って確実に把握する事をいいます。
- 共通費(間接費)の配賦計算
豚の育成に要した費用のうち、育成肉豚の諸経費のように共通的に発生したものは、飼料の使用量や飼育頭数、飼育期間等の配賦基準によって配賦します。
- 育成原価の部門別計算
経営規模の小さい養豚農家では、費目別計算によって把握された直接費や配賦基準によって配賦された間接費を基に育成(製品)原価計算を実行する事になりますが、規模の大きい複雑な経営形態を取る養豚農家については効率的な原価情報を提供するために、部門別(生産部門、肉豚部門等)原価計算を実施する事になります。
- 育成豚(製品)別原価計算
いわゆる出荷原価と在庫原価の原価計算の事です。飼育期間(通常は1年)の飼育頭数と出荷頭数を基に計算します。
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V.原価計算から得られる計数データ |
原価計算データから得られる計数データとしては、以下のような分析データがあります。
- 仔豚1頭当りの生産原価=生産豚に関わる費用÷離乳仔豚数
- 1頭当りの出荷原価=仔豚、肉豚の飼育費用÷出荷頭数
以上の原価データと母豚出産率、死亡率、廃棄率等の現場データと連動させながら、養豚経営の効率を見る事になります。一応、生産原価が高い原因としては、
- 生産部門費が高い
- 離乳仔豚が少ない
- 肉豚日数率が悪い
- 種豚、淘汰の見極めが悪い 等があげられます。
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