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08:2001/02 |
持続的養殖生産確保法の概要 |
(1)法律の目的 |
法は、漁業協同組合等による養殖漁場の自主的な改善を促進するため漁業改善計画制度を創設し、養殖漁場を養殖水産動植物の生育に適した状態に回復・維持するとともに、一定の強制的な措置を含む特定疾病のまん延防止のための措置を整備することにより、持続的な養殖生産の確保を図り、養殖業の発展と、水産物の安定供給を図ることを目的としている。(第1条) 一般的に「養殖」とは、収穫の目的をもって、人工手段を加え水産動植物の発生又は成育を積極的に推進し、その固体の数又は量を増加させる行為を意味するものであり、法における「養殖」も同義である。したがって、法における「養殖」は、漁業法上の区画漁業権に基づく養殖のほか、いわゆる陸上養殖(公共水面以外で行われる養殖活動及び増養殖用の種苗生産等)を含むものであるが、単に出荷までの一定期間イケス等で水産動植物を留め置くにすぎない「蓄養」は「養殖」には含まない。 |
(2)基本方針 |
農林水産大臣は、次に掲げる事項を内容とする持続的な養殖生産の確保を図るための基本方針(以下「基本方針」という。)を定めることとしている(法3条)。 | |
(1) | 養殖漁場の改善の目標に関する事項 |
(2) | 養殖漁場の改善及び特定疾患のまん延の防止を図るための措置並びにこれに必要な施設の整備に関する事項。 |
(3) | 養殖漁場の改善及び特定疾患のまん延の防止を図るための体制の整備に関する事項 |
(4) | その他養殖漁場の改善及び特定疾病のまん延の防止に関する重要事項 |
(3)漁場改善計画制度 |
@ | 漁業協同組合等が、基本方針に基づいて持続的な養殖生産を確保するため、単独又は共同で、養殖漁場の改善に関する計画を作成し、都道府県知事の認定を受ける事ができることとし(法4条1項)、認定された計画に基づく養殖業者の取組を円滑に進めるため、漁業権行使規則に計画の内容を反映させる際、通常であれば漁協の総会の3分の2の特別決議を要する漁業権行使規則の変更手続きを関係養殖業者の合意を条件に2分の1の普通決議事項とする水産漁協同組合法の特例(法6条)を講じている。 |
A | また、漁場改善計画を作成することができる、「漁業協同組合等」(法4条1項)とは、漁業法6条2項の区画漁業権(入漁権を含む)を有している漁業協同組合、漁業協同組合連合会、養殖業者等であり、漁業権等に基づかない養殖(陸上養殖等)を行う者は含まれない。これは、公共用水面を利用していない養殖(陸上養殖等)を行う者は含まれない。これは、公共用水面を利用していないことから漁業権免許の対象に位置付けられていない養殖業者にあっては、養殖漁場の改善を促すための担保措置等である水産業協同組合法(漁業権行使規則等の変更手続)及び漁業法(漁業権の制限等)の特例措置の対象となり得ないことから、漁場の改善を図る公益性及び実効性が乏しく、漁場改善計画制度の対象として位置付ける必要がないからである。 |
(4)勧告等 |
漁業協同組合等による漁場改善のための自主的な取組を促すとともに、公的規制の発動レベルにまで漁業の悪化が進むのを未然に防ぐという観点から、現状を放置した場合、養殖漁場の効用が著しく阻害されるおそれがあり、直ちに養殖漁場を改善する必要があると認められる場合は、都道府県知事は漁業協同組合等に対し、漁場改善計画の作成その他の養殖漁場の改善に必要な措置を行うよう勧告でき、勧告に従わない場合、その旨を公表できることとしている(法7条)。 |
(5)立入検査等 |
都道府県知事は、魚病の予防のため必要があると認められるときは、次に述べる魚類防疫員等の職員に立入検査等をさせることができることとし(法10条1項)、立入検査等において未知の病原体による疾病等が確認された場合は、都道府県知事は、その旨を農林水産大臣に届け出ることとしている(法12条)。 |
(6)魚類防疫員及び魚類防疫協力員 |
また、魚病の発生の迅速かつ的確な把握、これに不可能な常日頃からの養殖業者との信頼関係の確立等の観点から、都道府県知事は、魚病の専門知識を有する職員の中から魚類防疫協力員を任命することができることとしている。(法13条1項)。 また、魚類防疫員を補佐するため、都道府県知事は、漁業協同組合の職員等の民間人から魚類防疫協力員を委嘱することができることとしている(法13条2項)。 |
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