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14:2002/06


契約書の調印と押印

1.契約書の調印(契約締結)などにあたっての注意点
  1. 契約書の内容を再確認すること。
  2. 契約は、書面にしなくても、口頭の合意で成立することを原則とするから、当初から契約書を作成することが予定されているときは、あらかじめ相手方に契約書の調印をもって契約が成立する旨を伝えて おくほうがよい。交渉の結果まとまらないこともあり、トラブルの原因となることがあるからである。
  3. 契約交渉中に、契約成立を前提として、事実行為を先行させることがあるが、これはなるべく避けるべきである。契約が締結されなかった場合でも、交渉当事者の責に帰すべき事由がある場合には、相手方が契約が成立するものと信じてなした準備行為により被った 損害の賠償をさせられることがあるからである。
  4. 契約の内容によっては、株主総会の決議や取締役会の決議が必要なものがあるので、注意を要する。
  5. 複雑な契約の場合、交渉に長時間かかったり、いくつもの段階(合意)を経なければならないことがあるが、このような場合は、交渉ごとに経過書を作成したり互いに合意書を交わす(例えば、基本合意書、仮契約書など)ことがある。これらは、後々の契約事項の解釈に役立つから、契約書とともに保管しておくとよい。
2.契約書の押印
 契約書には、署名押印のほかに、次のような契印・訂正印・捨印・消印といった押印がある。

@契印(綴印)
 契約書の用紙が2枚以上にわたる場合、その綴じ目に2枚の用紙にまたがって押印する。2枚以上にわたる契約書が一体のものであること、かつその順序で綴じられていることを明確にするためのものである。なお、袋綴じとよばれる製本の仕方をした場合は裏側の綴じ目に当事者双方が1つずつ押せばよい。

A訂正印
 契約書の文字を誤ったり、文字の脱落があったときなど、それを訂正するための押印で、訂正する権限のある者が訂正したことを確認するためのものである。通常の訂正の仕方としては、訂正箇所に元の文字が読めるように2本の線を引き、縦書きならその右横に、横書きならその上に正しい字を書く。訂正印は加除訂正箇所に当事者双方の印を押すが、元の文字が見えにくくなるので、枠外に○字加入、○字削除などと書いて、そこに押してもよい。

B捨印
 後日契約の文字を訂正するときのために、あらかじめ欄外に押印しておくことで、後になって訂正箇所が見つかった場合、いちいち訂正印を押してもらいに署名者のところへ 行く手間を省くためになされるものである。しかし、捨印は、知らないうちに無断で文書内容を変更されてしまうおそれがあるので、確かな信頼関係がある場合以外すべきでない。

C消印
 収入印紙の再使用を防ぐために、印紙と台紙とにまたがって押印することをいうが、上記の目的のためのものであるから、契約書に使用した印でなくてもよいし、署名者全員で押印する必要もない。
 なお、ここで印紙のことにつきひと言ふれると、契約書に収入印紙を貼用してあるか否かで、契約の効力が左右されることはない。しかし、貼用していないことが発覚すると、過怠税を合わせて印紙税額の2倍を追徴されることになるから注意すべきである。
 

3.契約書の管理
 契約書の調印がすんだら、契約書のコピーを関係部署に配付して、契約内容に従った履行の準備をする。契約書の原本は契約書の成立並びにその内容を立証する重要な文書であるから、それなりの保管場所を決めるとともに、契約書を保管する課(主管課)を決め、管理上の責任を所在も明確にしておく。

 


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