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29:2004/10

<成年後見制度の概要について>

T.はじめに
 国が社会福祉政策を税による直接的な介入から国民相互の負担による介護保険制度へと転換した事から、福祉サービスの提供は、原則的に行政処分としての「措置」から利用者とサービス提供者との「契約」による事となりました。これを受けて、国民が等しく契約者としての権利行使を可能とするためには、判断能力が不十分な者に対して保護する必要が生じ、高年齢者や障害者で判断能力に不安がある者のために、法律の面や生活の面で、保護し支援する制度が設けられました。この制度が民法の改正による成年後見制度であり、社会福祉法の改正による福祉サービス利用援助事業の制度です。今回は、民法の改正で設けられた成年後見制度を見る事にします。
 
U.成年後見制度の目的
 高齢者や障害者等で判断能力が不十分なため、財産を管理する事が出来なかったり、契約の締結等の法律的な行為が困難な方々について、その不十分な判断能力を補い、損害を受けないように保護し、法律の面や生活の面で支援する制度です。
 
V.成年後見制度の概要
(1)法定後見制度
 権限のある方からの申立により、判断能力が不十分な方のために、家庭裁判所が成年後見人等を選任し、成年後見人等に代理権や同意権の権限を与え、成年後見人等がその代理権や同意権を適正に行使する事によって、本人を保護する制度です。成年後見人制度は、本人の判断能力の程度により、後見、 保佐、保存、補助の類型があり、それぞれ成年後見人、保佐人、補助人が本人を援助するものとして選任され、本人の判断能力に応じた援助を行う事になります。

(2)任意後見制度
 本人の判断能力がしっかりとしている段階で、判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ契約によって、判断力が低下後の後見の範囲や後見人を定めておく事が出来る制度です。法定後見制度が援助者やその援助内容を家庭裁判所が決めるのに対し、任意後見制度は、本人自身があらかじめそれらを契約により定めておくものです。
 
W.申立手続きと費用
(1)申立手続き
 申立てをするには、申立書や戸籍謄本、住民票、成年後見人に関する登記事項説明書等の添付書類を家庭裁判所に提出する必要があります。詳しくは、最寄の家庭裁判所にお尋ね下さい。

(2)申立手続費用
 申立手数料として1件につき800円の手数料(収入印紙)が必要になります。その他に、切手が3,000円程度、登記印紙が4,000円程度、鑑定費用が5〜7万円程度必要になります。いずれも事案により、その額が増減しますので、詳しくは家庭裁判所の担当者にお尋ね下さい。

(3)申立費用の負担者
 後見等の申立及び審判をするために必用な費用は、原則として申立人が負担する事になります。しかし、特別な事情がある場合には、その旨を審判する事によって、本人等の負担とする事が出来ます。その場合には、後見等の審判と一緒にその負担者を決める審判をする必用がありますので、最初の申立段階で、その旨の上申書を提出して下さい。後見等の審判が出た後に、本人等の財産から出したいと思っても、それは出来ないので、注意して下さい。

※成年後見制度については、弁護士会、司法書士会等でもサポートしていますので、最寄の事務局にお問い合わせ下さい。
 

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