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31:2005/1

<新会社法における主な見直しの項目について>

T.はじめに
 平成17年1月に通常国会に法案提出が予定され、平成18年4月に施行が予定されている新会社法の主な見直しの項目について、平成16年9月に公表された中小企業庁の「商法企業説明会資料」を参考に、その概要を説明する事にします。
U.見直しの内容
(1)有限会社法制と株式会社法制の統合
 現行の株式会社と有限会社を統合し、1つの会社類型(株式会社)として規律される事になりました。なお、現行の有限会社法に基づき設立された会社については、引き続き有限会社の商号使用が認められ、旧法が適用されます。なお、新会社法成立後、新しい株式会社に認められる各種の特例は、有限会社には認められません。
 また、原則として全員一致で定款の変更、その他の会社の在り方が決定され、社員自らが会社の業務執行にあたるという、組合的規律が適用される特徴を有する新たな会社類型(合同会社)を創設します。

(2)機関設計の柔軟化
 
会社規模や、株式の流通等に応じて、内部統制システムの有無や企業の成長段階に応じて、柔軟な機関設計の選択が出来るようにし、最低限の機関設計のみを定める事としました。ちなみに、大会社以外の場合で会計監査人を設置しないケースの場合、以下のような機関設計が考えられます。
  株主総会 取締役・取締役会 三委員
会等
監査役・
監査役会
会計参与 会計
監査人
株式譲渡
制限会社
万能的(商法230条ノ
10の適用なし)
取締役は
一人でも良い
単独の取締役が
業務執行権・代表権を
持つ

設置
不可

監査役等の
設置は任意
会計参与の
設置は任意

設置
せず

複数の取締役を設置→
業務執行の意思決定は
取締役の過半数で決する
制限的(商法230条ノ
10の適用あり)
取締役会を設置(各取締役の
業務執行権・代表権は喪失)
監査役、監査役会、会計参与の
いずれかを選択して設置
株式譲渡
制限会社
以外の会社
取締役を必ず設置(各取締役の
業務執行権・代表権は喪失)
監査役等を
設置
会計参与の
設置は任意


(3)会計参与制度の導入
 
過度な負担なく、中小企業の計算書類の信頼性を向上するため、会計監査人が設置されない中小会社に対し、会計専門家が取締役と共同して計算書類の作成を行う事により 、計算書類の信頼性を高める「会計参与制度」を導入する事としました。

    <会計参与の職務等>
     

  1. 計算書類の作成
     
  2. 株主総会における説明義務
     
  3. 計算書類の保存
     
  4. 計算書類の開示
     
  5. 1.〜4.までに関連する必要書類の作成等

(4)従来の規制の見直し

  1. 迅速な自己株式の取得のため、買い取りに当たり、必要な取得総額等の取締役会への授権決議は定時総会以外での総会でも可能とします。
     
  2. 株式の分散防止のため、議決以外での事由(相続、合併等)による株式移転を会社が承認しない事を可能とする旨を、定款で定める事を許容します。また、特殊決議により定款で定めれ ば、議決権や配当についての特段の定めを置く事が可能となりました。
     
  3. 取締役が遠隔地や外国に居住している場合の負担軽減のため、定款で定めれば、書面決議を許容できます。
     
  4. 社債等による資金調達手段の多様化は、新会社法においても認められます。

(5)会社設立に関する規制の見直し

  1. 類似商号規制について、企業活動の広範化や登記手続きの簡素化を踏まえ廃止します。同時に類似の判断基準となっていた「会社の目的」についても記載基準を緩和します。
     
  2. 創業促進の観点から、設立時の最低資本金規制を撤廃します。
     
  3. 会社設立時における銀行等による払込金の保管証明を不要とし、払込がある事の証明手段について、残高証明によれば足りるものとします。
     

(6)決算公告の義務付け

  1. 株式会社は、その規模及び選択した機関設計の在り方に関わらず、決算公告しなければならないものとします。
     
  2. 損益計算書又はその要旨を公告しなければならない株式会社の範囲は、会計監査人を設置する事が義務付けられている会社とします。

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