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34:2005/5

 

<特定調停法の概要と特徴について>

T.目的
 特定調停法は、支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するために、特定の債務者と債権者が当該金銭債務に係る利害関係の調整を促進する事を目的とします。従って、利害関係の調整は、債権者、債務者の双方にとって、公正かつ妥当で、経済的合理性を有する内容のものでなければなりません。

U.特定調停法の概要
1)内容と特徴
 特定調停法は、債務者及び、これに対して金銭債権を有する者、その他の利害関係人の間における金銭債務の内容の変更、担保関係の変更、その他の金銭債務に係る利害関係の調整を行う事によって、経済的に破綻するおそれのある債務者の経済的再生に資する事を目的とした法律です。金銭債務の内容の変更には、(1)金銭債権の元本一部放棄 (2)利息損害金の減免 (3)弁済期間の変更等があり、担保関係の変更には、(1)担保権の一部放棄 (2)担保不動産の 差替等、また、その他の金銭債務に係る利害関係には、(1)担保不動産の処分 (2)処分代金の分配 (3)保証人の保証債務調整等があげられます。なお、 内容の特徴を民事再生法との比較で示すと、以下の通りです。
 
項目 特定調停法 民事再生法
債権者会議

不要である

◎一部の債権者のみを対象に限定して裁判所への申立をする事ができ、債権者と債務者との話し合いで合意が成立した当事者のみに効果が及ぶ。

必要である

◎議決権総額の2分の1を超える債権者の賛成で成立し、不賛成者にも強制力あり。

対象債権者

特定(一部)の債権者

全債権者

公開性 非公開である

◎一部の債権者を対象に申立をする事ができるので、調停手続等を秘密裏に実施する事ができる。

公開である

◎債権者会議を開催する事により、世間に公開される。

予納金

(価格)
100万円
500万円
1,000万円
5,000万円
1億円
5億円

(手数料)
5,300円
17,300円
27,300円
91,300円
171,300円
651,300円

(価格)
5,000万円未満
1億円未満
10億円未満
50億円未満
100億円未満
250億円未満

(手数料)
200万円
300万円
500万円
600万円
700万円〜800万円
900万円〜1,000万円

2)特定調停手続
 
特定債務者が特定協定手続により申立を行う場合には、簡易裁判所に対して特定調停申立書と添付書類を作成して提出しなければなりません。添付書類としては、(1)定款、登記簿謄本 (2)債権者の登記簿抄本と支店名 (3)会社案内、組織図 (4)株主名簿、出資者名簿、社員構成 (5)債務者、担保権者一覧表 (6)3期分の決算報告書 (7)財産目録 (8)資金繰表等があります。

3)当事者の責務
 特定調停においては、当事者は調停委員会に対し、債権又は債務の発生原因及び内容、弁済等による債権又は債務の内容の変更及び担保関係の変更等に関する事実を明らかにしなければなりません。
 


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