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01:2001/02


金融機関の貸出先の選別と中小企業の対応

(1)金融機関の信用(企業)格付け

 金融機関は、一般的に、貸出先企業の信用状況を測定する基準として、以下のような信用格付けを行っています。

格   付

評   価

格付け1

リスクなし

 安全性は高水準に達しており、財務内容とも極めて優れていると判断される企業。融資先としてのリスクは最小限で、債務償還は非常に安定的な収益からもたらされ、返済の確実性が最も高い。個別要因の変化はあっても、今後数年間は極めて安定的に状況が推移すると考えられる。

格付け2

リスク

ほとんどなし

 かなり優れていると判定される企業。格付け1と共に上位格付けの企業であり、現在のところ返済の確実性は極めて高く、業況にも懸念がない。ただし、格付け1と比較すると安全性はやや劣り、長期的には与信リスクに影響を及ぼす要因が発生する可能性もある。

格付け3

リスク些少

 貸出先としてはかなり魅力的、かつ安定した内容を有する企業である。返済の確実性はかなり高く、元利払いが滞る可能性は低いが、長期的な視野に立って見ると安全性を低下せしめる要因が顕在化する可能性を秘めている。

格付け4

リスクがあるが

良好水準

 現時点での融資元利払いの確実性は高いが、やや心配な特定の要因を内包しており、将来的に返済の確実性が低下するか、信用状況に懸念が生じる可能性がある。償還能力が安全的と判断する要素が不足しており、実際上のリスクがあると判断される。

格付け5

リスクがあるが

平均的水準

 当面の返済能力に不安はないが、格付け4以上に環境の変化などにより将来において安全性が低下するおそれがある。

格付け6

リスクやや高いが

許容範囲

 当面の返済能力はそれほど安定ではないが、長期的に安全性を維持できるという確実性は低い。

格付け7

リスク高く

管理徹底

 すぐに債務不履行に陥るというわけではないが現時点においてすでに返済の確実性が低く、安定性にかける。

 将来的に見ても安全性には懸念がある。

格付け8

警戒先

 すでに債務不履行にあるか、あるいは重大な危険性が認められる。企業内容はかなり悪化しており、経営が行き詰まる可能性が高い。

格付け9

停滞先

 債務不履行でかつ解消のめどが立たない。貸出金の回収に重大な懸念を生じており、損失の発生が見込まれる状態にある。経営は継続しているか回復の難しい先。

格付け10

事故先

 不良債権化し貸し出し回収の見込みもなく、償却を要する。

これらの格付けは、
  1)定量要因(安全性・収益性・成長性・返済能力)と、
  2)定性方向(業種特性・企業特性)の
評価項目の総合得点決定される仕組みになっている。また、上記信用格付けと同時に、貸出債権を以下のように分解しています。
@正常先債権 業績が良好、かつ財務内容に問題がない貸出先債権。
A要注意先債権    貸出条件や返済など履行状況、財務内容等に問題があり。
B破たん懸念先債権  経営難の状態で、経営改善計画等の進捗が著しく経営破たんに陥る可能性が大きい貸出先債権。
C実質破たん先債権 法的には、経営破たんになっていないが、経営難は深刻で債権の見通しが立たない実質的に経営破たんになっている貸出先債権。
D破たん先債権         法的に経営破たんの事実が発生している貸出先債権。

 

(2)中小企業の対応
  1. 金融機関が自社をどう見ているかを現状分析してみる。
  2. 自社の借入金で回収に懸念のある借入債務は、優先順位をつけて返済する。
  3. 金融機関に対して、積極的に自社の内容を開示し、金融機関にカット正当に評価してもらう。
  4. 金融機関への財務内容の説明には、経営者自らが行く。
  5. 4の場合、次期の経営計画書を持参する。この場合、経営者は、経営計画書を裏付ける数字データを準備しておく事が必要
  6. 経営改善計画書に基づく進捗管理(業績検討)の場を設定して、途中経過を金融機関に報告する。
  7. 最終的には、金融機関に頼らない経営が出来るよう自社を育てる事が必要。

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