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03:2001/02 |
経営者が考えなければならない事業承継のポイント |
事業承継とは、これまで長年に渡って築いてきた会社の経営者の経営権(人・物・金・情報に関する決定権)と所有権(会社財産の支配権)を長期的な視野に立って健全な姿で後継経営者に継承させる事によって企業の社会的な役割を果たす事を意味します。つまり、企業環境の変化を的確にとらえ、長期的視点から戦略的に事業継承を行うポイントは、少なくとも以下の3つを押さえなければなりません。 |
(1)環境を知る事 |
まず、経営上会社がおかれている環境を知って適切に対応する事が重要です。激動する経済環境を踏まえて、具体的なファクターとしては地価、利率、税制、業界規制がどのように動いていくか。そしてその中で我が社はどんな手段を講じていかなければならないかということを含めて、人、物、金、情報について今後の動向をつかむことが求められます。 |
(2)己を知ること | |
己を知ることの中身は会社の現状分析と個人の現状分析です。 1)会社の現状分析 |
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@ |
会社を承継していってくれる人材を見出せるか |
A |
わが社のライフサイクルはどうか |
B |
会社体質の改善を図っていくとした場合、それに必要な資金調達は大丈夫か |
等の会社経営の実情について分析し、的確に把握する事が必要です。 2)個人の現状分析 |
中小企業のオーナーの財産は実体のない財産であると極論することができます。というのは、個人の財産は何等かの形で会社の信用力を保持するために担保として提供されているのが通常だからです。従って、会社が倒産すれば個人の財産も無くなることになります。また逆に言えば、個人の財産に相続税が荷重にかかれば会社を危機に陥らせてしまい、事業継承ができなくなる可能性がでてきます。個人財産の現状分析を行い相続税対築を図ることは、会社の信用力の保持につながることになります。 |
(3)長期的な構想を持つこと | |
長期的な構想の中身は、 |
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1) |
人材(後継者)が育っているか |
2) |
わが社が志向すべき分野はどこか |
3) |
経営権と所有権の問題で争いが起こらないように予防手段を講じているか |
です。 |
1)人材(後継者)が育っているか | |
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自分が先祖から受け継いだ、あるいは自分がこれまで築いてきた経営理念、人、物、金、信用を引継いでいける人物(後継者)の計画的育成(経営者教育、管理者教育)実施しているかどうか |
2)わが社が思考すべき分野はどこか | |
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会社によって思考すべき分野はいろいろありますが、わが社は当面どちらへいくのか、事業展開をどういう分野にしていくのかという構想(中長期経営計画)を持たなくてはなりません。また、個人の財産減少は信用力の低下を招きますから長期的な構想のもとで税務対策を実施していかなければなりません。 |
3)経営権と所有権の問題で争いが起こらないように予防手段を講じているか | |
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事業用財産は確実に後継者に継承されるように遺言などによりオーナーの意思をきちんと明示しておく方法がとられいるか。 |
(4)生き残るための戦略的事業継承の二つの対策 | |
1)経営権の承継対策 |
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経営権の承継とは、一言で言えば代表取締役社長の座を譲り渡す事です。つまり法律上の代表者(代表取締役)と職制上の地位(社長)をいかにしてスムーズに後継者に承継させるかがポイントになります。従って経営者の立場から見た場合、後継者は誰にするか、後継者教育はどのように行うか、あるいは後継時期はいつにするかなどが対策のポイントになります。 | |
2)所有権の承継対策 |
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所有権の承継とは、経営者の所有する株式をどのような形で後継者に引き継いでいくか、また経営者の所有する事業用財産(土地や建物)をどのようにして後継者経営に引き継ぐかが対策のポイントになります。この場合、引継ぎについて必ず相続税の負担問題が関連してきますので、ここでの対策の中心は税務対策ということになるわけです。 |
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