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12:2002/10


下請企業の経営戦略の方向性について


業態の違いはあっても、多かれ少なかれ、取引関係の強弱により下請企業としての立場に甘んじなければならない中小企業者は多いものです。このような下請中小企業者が取引関係において影響力を保持するためには、それなりの経営戦略が必要です。下請企業の経営戦略の方向性として、以下のような項目に留意しましょう。

 

(1)技術力を強化する
支配企業が下請企業を利用するのは、
@低コスト化を実現できる
A下請企業の専門技術を利用できる
B需要変動に柔軟に対応できる
C仕様が柔軟に対応できるので、委託しやすい等のメリットがあるからです。
したがって、支配企業の信頼を高め受注を安定的に確保するためには、下請企業としての強み、技術力の強化、品質の向上等に努める事が必要です。そのためには、技術力の育成に努め、モラルアップにエネルギーを注入しなければなりません。技術力、サービス力の強化は、影響力を強める最大の経営戦略です。
 
(2)設計、開発部門の強化
技術力を強化するためには、組織面でいえば、設計部門、研究開発部門を強化する事につきます、下請中小企業は、人材不足や、資金不足を理由に、この分野の努力を怠っているところが少なくありませんが、このような経営姿勢をとっていたのでは、いつまで経っても技術力、サービス力の強化は望めません。設計や開発のできる社員を育成し、技術力の強化につながる戦略に着手しましょう。
 
(3)セールスポイントを身につける
下請企業としては、他の業者に先ずる何らかのセールスポイントをマスターすることも、影響力を強める事になります。例えば、
@約束した納期は必ず守る
A納期の短い注文にも応じられる
B高品質の部品を安定的に供給できる
C多品種少量生産ができる
等は、セールスポイントとして市場が評価してくれるはずです。
 
(4)取引先の多角化を図る
特定の支配企業のみによりかかっていると、支配企業が生産の拠点を海外に移したり、支配企業の景気が悪くなったりしたときに、きわめて大きな影響を受けます。このため技術力の強化と並行して取引先の多角化を図り、特定分野において他者に負けない技術をもっている事をPRしたり、納期管理力、発注品検査力などがしっかりしている事等をアピールして、新しい取引先の開拓に取り組むべきです。
 
(5)社員全員で取り組む
技術力の強化にしても、新サービスの開発にしても、経営者の1人の力だけで、できるものではありません。社員全員の理解と協力がどうしても必要です。このため、経営者として「将来こういう会社にしたい」という将来像を素直に社員に示し、社員の理解と協力を求めるべきでしょう。
それと同時に、風通しの良い組織風土の形成に、従来以上に取り組むべきです。
 

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