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16:2002/11


戦略的ISOの勧め


 今では少し落ち着きを見せてきたが、最近までISO取得ブームが続いてきた。特に建設業界ではISOラッシュとも呼べる状況がみられた。近年では、初回審査登録から半年、あるいは1年を過ぎ、定期審査や移行審査を受診する企業も増えている。いうならばISO取得段階からISO定着段階へと移行しつつある。そんな中で、ISOを取得したものの、ISOが本来あるべき「業績確保のためのマネジメントシステム」として定着せず、逆に足手まといとなっているケースが極めて多い。
なぜ、ISOは定着しないのか。その理由としては、審査登録企業側に起因するものと、ISO指導を担当したコンサルタント側に起因するものとがある。企業側に起因する理由としては、ISOが入札条件の一つになりだしたため、業界横並び意識でISOの本質も知らずに我先にと取得だけを目的に取り組んだことが一因である。一方、コンサルタント側に起因する理由としては、経営管理の知識と経験のない俄仕立てのコンサルタントを使って、形だけのISOを指導させたことが一因である。マネジメント経営学ないしはマネジメントコンサルティングの知識と経験をもたずしてマネジメントシステム規格ISOの指導ができないことは当然なのだが。
 ISO9001は品質、ISO14001は環境というマネジメント側面に違いはあるものの、いずれもマネジメントシステム規格であり、経営と切り離して考えられるものではない。したがって、審査登録を受ける企業は、まず自社の経営目的を明確にした上で、ISOに基づいた経営品質の管理(製品品質の管理ではない)を行っていくという心構えがないといけない。また、コンサルタントは、単なる「ISOコンサルタント」ではなく、「ISOコンサルティングもできる経営コンサルタント」でなければ役に立たない。ISOの指導を通じて経営者の意識改革ができるくらいの経営コンサルタントでなければ、その企業に定着できるほどのISOの指導は望み得ない。
 もし、あなたの会社がISO9001審査登録済ならば、次のチェック表を使って、あなたの会社のISOシステムがどれだけ経営に役立っているかの効果を測定してほしい。
 
チェック項目 チェック
1 社員の多くが自分の仕事の目的や手順をわかるようになった
2 少なくとも監督職以上には文書や記録を作る目的がわかるようになった
3 顧客からの要望・苦情や完成検査結果に対する取組みが熱心になった
4 社長の考え方が第一線まで伝わりやすくなった
5 ISOが経営計画(経営目標)を達成するための手段として使われるようになった
6 責任や権限が明確になり、適度な緊張感がみられるようになった
7 報告・連絡・相談など社内のコミュニケーションがよくなった
8 社長が率先して問題点を指摘するようになった
9 形だけでなく結果を求める教育訓練が行われるようになった
10 設備の整備や備品の整理整頓がよく行われるようになった
11 働きやすく生産性の高い職場にしようという動きが出てきた
12 作業手順の見直し・標準化が進み、それに基づく計画が立てられるようになった
13 着手前・着手後の顧客とのコミュニケーションがよく行われるようになった
14 顧客の要望を反映した設計ができるようになった
15 協力業者とのコミュニケーションや協力体制が整備されてきた
16 業務管理におけるムダ・ムラ・ムリが少なくなってきた
17 監視測定機器の扱いや点検、測定値の意味に注意を払うようになった
18 計画内容に沿って活動し、その結果を記録として残す習慣がついてきた
19 不適合がよく取り上げられ、それについて皆で討議するようになった
20 終了した業務に対する反省点や良かった点が会議等で発表されるようになった
21 是正処置がタイミングよく取られるようになった
22 予防処置がタイミングよく取られるようになった
23 是正処置よりも予防処置の割合が大きくなってきた
24 システム自体の見直しにより文書改定がタイミングよく行われるようになった
25 計画達成度が目に見えるようになり以前より成果の把握ができるようになった
 

○ひとつが4点です。あなたがつけた○の数に4をかけてください。
100点満点中何点になりますか?


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