企業再建の成功の鍵は、事業収益構造の改善に尽きます。事業収益構造の改善策は、経営機能(開発、購買、生産、マーケティング、販売、物流、アフターサービス等)の再設計と事業戦略の構築からなり、そして事業戦略の構築は、
@事業の選択(ドメインの選択)
A改善目標の設定(目標レベルの設定)
B成功要因分析(KFS分析)
C環境要因分析(SWOT分析)
D行動計画の作成からなります。
これらを地道に積み上げて行く事で、事業収益構造の改善の可能性が開ける事になります。今回は、事業戦略構築の要ともいえる、SWOT分析の戦略的活用について説明します。
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(1)SWOT分析の内容 |
SWOT分析とは、外部環境(機会、脅威)に対して、自社がもつ能力(強み、弱み)を使ってどう対処して、事業の成長あるいは収益機会を獲得してリスクを減らすかという戦略を立てるための分析ツールです。
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(2)SWOT分析の活用手順 |
1)外部環境分析 |
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外部環境(機会、脅威)情報の収集
自社に関係する業界動向(景気動向)、法規制、ユーザー(顧客、仕入先)動向、競合状況流通等に関して、毎週定期的にチェックする。 |
A |
将来のチャンスとリスクの可能性を総ざらいして、一覧表にまとめる。 |
B |
それぞれのチャンスとリスクの発生可能性、発生時の損失規模を推定し、整理する。 |
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2)内部環境分析
自社及び他社の強み、弱みに関する情報収集を行う、手順は以下の通りです。 |
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顧客アンケートの実施 |
A |
顧客グループインタビューの実施 |
B |
社内スタッフによるブレーンストーンミング |
C |
多種類の成功要因に関する充足度分析 |
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一覧表にまとめる |
E |
妥当性の検証と絞り込み |
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3)戦略的検討 |
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他社の弱みを自社の強みで改善することで、シェアップがはかれるか? |
A |
他社の強みに対応(攻撃、防御、回避等)する事で、シェアダウンを防止できるか? |
B |
チャンスを自社の強みで活用してシェアップをはかれるか? |
C |
リスクを自社の強みで回避して、シェアップをはかれるか?
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(3)分析結果の戦略的活用 |
以上が、SWOT分析の活用手順ですが、分析で得た結果を戦略的に活用する事で、制約条件(人材、資金、時間)を前提とした事業の選別が可能となります。例えば、既存事業におけるSWOT分析の結果、売上拡大に関して、自社の強みを活かした『顧客価値の向上』がポイントとしてあげられた場合、顧客がどのようなプロセスをとってニーズを感じ、商品情報を収集し、商品を選択し、満足感を得るのかを分析する事で、顧客満足度向上のための条件を発見する事ができる訳です。このように自社(他社)のSWOT分析を行う事で、よりダイナミックな戦略構築が可能となります。 |