b-post > ビジネス情報 > 経営 > 自ら考え、自ら動く自立型の人材育成ツールについて

27:2004/2

 

<自ら考え、自ら動く自立型の人材育成ツールについて>

T.はじめに
 中小企業が現在おかれている閉塞状態を打開するためには、激変するビジネス環境に対して、迅速かつ柔軟に対応できる人材、即ち、自ら考え自ら動ける自立型の人材を何人育成出来るかにかかっているといっても過言ではありません。これまでも多くの人材育成ツールが紹介されてきましたが、今回は多くの企業でコミュニケーション・スキル(部下育成ツール)として積極的に採り入れられつつある『コーチング』について概略を説明したいと思います。
 
U.コーチングとは何か
 コーチングとは、『個人の自己実現をサポートするシステム』です。即ち、@自己実現とは、個人が本来持っている能力や可能性を最大限に発揮する欲求をいい、Aサポートとは、個人が持っている能力や可能性を、さらに発揮できるよう支援する事をいいます。そして、Bシステムとは、コーチングが持つ土台としての哲学(技術+考え方)及び協働的な人間関係を合わせた体系を意味します。以上のように『コーチング』は、三つのポイント(自己実現、サポート、システム)から成る人材育成ツールです。
 
V.コーチングの技術体系
 コーチングの技術体系は、たくさんのスキル(特定の目的のために使われる技術)から成り立っていますが、常に使用される中核的なスキルとして五つの道具があります。
(1) 質問
 質問とは、いわゆる問いかけです。一口に『問い』といっても、実に色々な種類がありますが、その中でも、育成ツールとして是非、知っておいて頂きたいのが次の三種類です。
  1. 拡大質問
    拡大質問とは、問いを投げかけられた人が、すぐには答えられないような質問、あるいは正解が複数あるような質問をいいます。
     
  2. 未来質問
    未来質問とは、「これからどうしたいのか?」といった、未来形の言葉を含む問いかけをいいます。
     
  3. 肯定質問
    肯定質問とは、「どうしたらうまくいくのか?」といった、拡がりがある明るい感じの肯定的な問いかけをいいます。


(2) 傾聴
 傾聴とは、いわゆる「話の聞き方」に関する技術です。話の聞き方は、以下の三つのレベルで捉えることが出来ます。

  1. 耳で聞く(レベル1)
    耳で聞くとは、話を聞くためには、概念や先入観等の余計なものを振り払いましょう、という事です。
     
  2. 口で訊く(レベル2)
    口で訊くとは、個人の話を耳で聞くだけでなく、問いかけを差し挟みながら、口を併用して聞くという事です。
     
  3. 心で聴く(レベル3)
    心で聴くとは、「どうしたら個人が、本来持っている能力や可能性を最大限に発揮し、自立する事が出来るだろうか」という事を念頭におきながら、話を聞くことをいいます。


(3) 通観
 個人とコミュニケーションする際に、話し手の通観を最大限活用する事を意味します。個人が自分の顕在意識の中で問いかけを考えるより、むしろ潜在意識から出てくる通観に従って問いを投げかけた方が、よほど「あてになる」場合が多いからです。


(4) 自己管理
 自己管理とは、個人とコミュニケーションする際、「どういう態度で臨むか」という事についての技術です。まず、自分の頭、心、身体を管理して、自我を消し去る事が、すばらしいコミュニケーションを取る第一歩です。


(5) 確認
 確認とは、コミュニケーションする際、「相手にとって大事な事を確認する」ための技術です。大事な事とは、相手の未来、現在、過去を確認する事を意味します。即ち、相手の未来や現在や過去について、確認する事で、個人の可能性を引き出すための技術でもある訳です。

 以上のコーチング・スキルを使いこなす事で、スピーディーに環境適応できる自立型の人材を数多く育成して欲しいものです。


BACK


Copyright (C) 2004 b-post.com. All Rights Reserved.