コーチングの技術体系は、たくさんのスキル(特定の目的のために使われる技術)から成り立っていますが、常に使用される中核的なスキルとして五つの道具があります。
(1) 質問
質問とは、いわゆる問いかけです。一口に『問い』といっても、実に色々な種類がありますが、その中でも、育成ツールとして是非、知っておいて頂きたいのが次の三種類です。
- 拡大質問
拡大質問とは、問いを投げかけられた人が、すぐには答えられないような質問、あるいは正解が複数あるような質問をいいます。
- 未来質問
未来質問とは、「これからどうしたいのか?」といった、未来形の言葉を含む問いかけをいいます。
- 肯定質問
肯定質問とは、「どうしたらうまくいくのか?」といった、拡がりがある明るい感じの肯定的な問いかけをいいます。
(2) 傾聴
傾聴とは、いわゆる「話の聞き方」に関する技術です。話の聞き方は、以下の三つのレベルで捉えることが出来ます。
- 耳で聞く(レベル1)
耳で聞くとは、話を聞くためには、概念や先入観等の余計なものを振り払いましょう、という事です。
- 口で訊く(レベル2)
口で訊くとは、個人の話を耳で聞くだけでなく、問いかけを差し挟みながら、口を併用して聞くという事です。
- 心で聴く(レベル3)
心で聴くとは、「どうしたら個人が、本来持っている能力や可能性を最大限に発揮し、自立する事が出来るだろうか」という事を念頭におきながら、話を聞くことをいいます。
(3) 通観
個人とコミュニケーションする際に、話し手の通観を最大限活用する事を意味します。個人が自分の顕在意識の中で問いかけを考えるより、むしろ潜在意識から出てくる通観に従って問いを投げかけた方が、よほど「あてになる」場合が多いからです。
(4) 自己管理
自己管理とは、個人とコミュニケーションする際、「どういう態度で臨むか」という事についての技術です。まず、自分の頭、心、身体を管理して、自我を消し去る事が、すばらしいコミュニケーションを取る第一歩です。
(5) 確認
確認とは、コミュニケーションする際、「相手にとって大事な事を確認する」ための技術です。大事な事とは、相手の未来、現在、過去を確認する事を意味します。即ち、相手の未来や現在や過去について、確認する事で、個人の可能性を引き出すための技術でもある訳です。
以上のコーチング・スキルを使いこなす事で、スピーディーに環境適応できる自立型の人材を数多く育成して欲しいものです。
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