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28:2004/4

 

<企業再生のための集中戦略について>

T はじめに
 企業再生が成功する最も確率の高い戦略は、最も得意とする分野の事業に、人、物、金、情報を集中することによって、競合他社より機能や価格で差別化された商品のサービスを生み出し、競合相手に一歩先じる事です。つまり、失われた競争優位を取り戻し、売上と利益を稼げるようにするために最も有効な戦略は、事業分野の絞り込みと経営資源の集中です。そこで、今回は、再生企業にとって経営資源の選択と集中戦略を策定するための有効な切り口を紹介する事にします。
U 選択と集中戦略のための5つの切り口
 再生企業にとって、経営資源の選択と集中戦略を策定するための有効な切り口としては、以下の5つがあります。

1)顧客セグメントの選択と集中
 この分野において、再生企業は、現在の顧客セグメントが散漫として絞り込めておらず、結果として、顧客の要求をおろそかにし、他社より劣っている商品、サービスを提供しているケースが多いようです。中核事業となっている分野について、
ア.現在の顧客セグメントがどのような分布になっているか?
イ.ターゲットとする顧客セグメントが戦略的に絞り込めているか?
徹底的に検討してみる必要があります。その検討結果を受けて高付加価値を期待できる顧客セグメントに経営資源を集中すべきです。

2)商品サービスの選択と集中
 この分野において、再生企業は、どの商品、サービスが自社のコア事業なのか明らかにされていない場合が多い。特に、取扱い商品サービスラインが絞り込めておらず、アイテムが多数になって、商品力やサービス力が分散している場合が多い。どの商品、サービスがコア事業なのかを明確にして、コア事業である商品、サービスの機能、価格面を他社より差別化し、主力アイテムに経営資源を集中すべきです。

3)販売チャネルの選択と集中
 自社にとって、コアとする販売チャネルが十分に強固であってはじめて、他の販売チャネルへの進出も可能となります。そのためにもまずは、自社がコアとする販売チャネルをしっかりと位置付けし、明らかになった販売チャネルに経営資源を集中してこそV字回復への糸口をつかむ事ができます。

4)販売地域の選択と集中
 自社がコアとする事業分野の販売地域についても、選別した顧客商品、サービス、並びに販売チャネルに適応した集中戦略をとるべきです。コアとする事業分野の販売地域を高シェアにするためにも経営資源を集中できるよう販売地域の選別及び強化に努めなければなりません。

5)バリューチェーンの選択と集中
 企業価値は、開発、購買、製造、物流、広告、販売、管理業務といった一連の機能の連鎖により形成されています。従って、自社のコア・コンピタンスがどの機能に依存しているのか選別します。そして、自社がコアとする機能をさらに経営資源を集中することによって、より強固なコア・コンピタンスを形成できるようにしましょう。そのために、苦手とする機能は、アウトソーシングやアライアンスによって外部に出してしまう事も検討する必要があります。
 

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