T.はじめに |
先般、環境を取り巻く制度及び制作の変革について、説明した中で、市場を取り巻く消費者の環境重視の意識変化を取りあげましたが、これは、今日企業につきつけられた解決しなければならないテーマでもあります。ある環境意識調査によると「環境に配慮した製品、サービスであれば、価格が1〜2割高くても購買するか」という質問に対して「YES」と答えた人が回答者の80%を越えました。この事実をとらえても、企業者にとって環境配慮型の経営、即ち、環境経営に取り組まなければ、市場から淘汰される可能性がある事を物語っています。そこで今回は、環境経営に取り組む場合の3つのポイントを説明します
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U.環境というテーマを中心に置く |
多くの企業が、おそらく「環境経営」の中のいくつかの項目について問題が発生するたびに、対応策を考えて、取り組んでいるのが実情だと思います。しかも、これからは、こうした場あたり的な対応ではなく「環境」というテーマを真正面から取り入れて、経営戦略を立てて取り組んでく必要があります。「環境経営」と一口で言ってもリサイクル対応、CO2削減対応、排出物取引対応、環境税対応、土壌汚染対応等広範囲にわたっています。これらの問題への対応を誤ると経営に重大な影響を及ぼすようになってきました。こうした広範囲にわたる「環境対策(経営)」を全体としてとらえ、問題が起こる前に対応出来るよう環境というテーマを中心に置いて戦略を立てる事が必要になって来ています。
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V.将来の変化に対応できる戦略(計画)を立てる |
環境というテーマを中心において、戦略を立てたら将来の変化に対応できる実施計画を策定する事が必要です。環境を中心に置いた実施計画は、これまでの実施計画とは異なり、シナリオプランニングという手法で、計画するのが良いでしょう。「環境」は、非常に変化の激しいのテーマです。今後2〜3年の動きを考えても@リサイクル技術は今後どのように、実用化されていくのか?A環境税はどのような形で導入されていくのか?B排出物取引市場は、株式市場と同じように機能するのか?C土壌汚染ビジネスは、本当にこれから大きな需要となってくるのか?等将来の事がはっきりとわからない場合が多いです。従って@将来起こりうる事象をいくつか想定する。A将来起こりうる事象をシナリオの形にまとめ、それに対する施策を立てる。B将来の状況が変わったときに、事前に用意しておいた施策の中から、最適なものを選んで実行するシナリオプランニング手法で戦略(計画)を立てるのが良いでしょう。
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W.戦略(実施計画)の評価を行う |
環境戦略(計画)を実施したら、次に大事なのは評価です。その実施計画が本当に機能をしているか?見直すべきところはないか?施策をより効果的に実現するための手立てはないか?等、総合的に評価します。組織を動かしているのは人です。戦略を業務に落とし込んで、実行しようとする意欲を引き出す仕組みが必要です。そこで、注目されているのが、業績評価のマネジメントコントロールシステムであるバランススコアカード(BSC)です。BSCは、戦略を実行させるための手法であるとともに、評価し組織に反映させる手法でもあります。財務、お客様、業務プロセス、人材の視点を相互に関連させながら実行、評価するBSCの仕組みを取り入れたいものです。
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