T.はじめに |
ビジネスは市場競争が基本です。競争に勝たなければ、生き残る事は出来ません。勝ち残るために、企業努力は避けられません。
ところで、市場競争(戦い)に勝ちつづけるためには、勝つための方法が必要になってきます。商売で商品を売るためには、売れる商品を作り、売れる体制を作らなければなりませんが、そこに求められるのは、正確な商品の需要予測と売上予測です。そこでマーケティングが大切になってくる訳ですが、古くから必勝の販売戦術として用いられる勝つための手法「ランチェスター戦略」を見る事にします。
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U.戦略と戦術の違い |
1)戦略
戦略とは目に見えな行動であって、商品戦略、顧客戦略、流通戦略、価格戦略、地域戦略、時間戦略と言うように簡単には変更できないものです。戦略は
- 物事の中核に位置する思想
- 戦略を実際に機能させる組織
- その組織を動かすためのパターン化した行動の領域からなります。
2)戦術
戦術とは、目に見える行動であって、広告宣伝、営業、プロモーションと言った具体的な施策を意味します。
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V.強者の戦略と弱者の戦略 |
1)強者がとるべき戦略
強者とは、競争条件が有利な企業をいい、業界における市場占有率が26%以上確保され、業界1位である事、さらにNo2との間に60%以上の差をつけている事が条件です。このような強者である広域な企業の戦略は
- ライバルが視界に入らない広域な総合戦を挑む
- 一人が多数を標的にできる集団型の確率戦に持ち込む事
- 接近戦を避け、間接的かつ遠隔的な戦闘場面を作る事
- 豊富な経営資源を活用して、物量で包囲戦でもって勝敗をつける
- 誘導作戦でライバルを分散させる等が基本となります。
2)強者のとるべき戦略
弱者とは、上記1)以外の状況下にある企業をいい、ほとんどの企業が該当すると思います。このような弱者である企業の戦略は
- ライバルが視界に入るような狭い範囲での局地戦に持ち込む事
- 一騎打ち型の戦いを挑む
- 接近戦で戦う
- 経営資源を集約させ、一点集中攻撃をかける
- 陽動作戦でライバルをかく乱し、ライバルの注意を別に向ける等が基本的な考え方になります。
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W.小さな会社の基本戦略 |
小さな会社は、基本的には弱者の戦略が前提となりますが、経営の8大要素、即ち、
- 取扱商品(サービス、技術等)
- 営業地域(どの範囲を中心として営業を展開するか)
- 業界、ルート、客層(どの客層をターゲットにするか)
- 営業(新規見込み客開拓、取引継続、見込み客紹介)
- 顧客(既存客の確保、リピーター、固定客化)
- 組織(要員確保、配置、教育訓練、処遇)
- 財務(設備・運転資金確保、利益・資金管理、借入対策)
- 時間(効果的な戦略展開をする時間の使い方、活かし方等)の8つがありますが、
これらの経営要素についてランチェスター戦略では、Aの商品関連が26.7%、B、C、D、Eの営業関連が53.8%、Fの組織関連が13.3%、Gの財務関連が5%、Hの時間関連が1.2%とされ、それぞれの経営要素にウェイト付けを行って、対策を講じる事が重要だとしています。つまり、経営全体の80%を占める商品、営業関連対策を中心に強み、弱みを徹底分析し、弱者の戦略を前提に経営改善に取り組む事が、小さな会社の基本戦略です。 |