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31:2005/3

<福利厚生のあり方について>

T.はじめに
福利厚生とは、一般的に、企業で働く社員の精神面、施設面、経済面等の環境を整える事で、社員の能力を十二分に発揮してもらい、社員の定着を図る事を目的としています。例えば、全社員を対象とした社内の運動会や慰安旅行、クラブ活動、療・社宅、保養所、体育施設、商品等の現物支給等さまざまな福利厚生が行われて来ましたが、これからの時代、福利厚生はどうあるべきなのか?負担面での厳しさが増すとともに、福利厚生の見直しが実施されつつあるようです。そこで今回は、戦略 的福利厚生の視点を見る事にします。
 
U.福利厚生の見直しの方向性
企業の行う福利構成の役割として、かつては「低賃金の補充」「労働力の確保」「社会保障の代替」等が言われてきました。しかし、今日では「質の高い個人生活の実現」「多様な人材の確保」「社会保障との分担」と言った役割へとしだいに変化して来ているようです。
このような役割の変化に伴って、企業の福利厚生制度も、@高齢化と年金改革に伴う法定福利費コスト増への対応、A社員の価値観、ライフスタイル、ニーズの多様化への対応、B成果主義による配分の導入等といった人事評価制度との整合性の確保等が見直しの方向性として課題となりつつあります。
 
V.福利厚生制度の必要性
Uでも見たように、福利厚生については、限られた原資の中での質的な見直しが大きな課題となって来ています。企業へのアンケート調査でも、「健康管理」や「自己啓発」と言ったものが上位を示しており、従来のリクレーション、保養、慰安旅行等は軽視される傾向が見られます。その意味では、従来型の福利厚生の必要性はなくなりつつあると言えるかも知れませんが確かに、生活の全てを会社に ゆだねるようなワークスタイルは見直す必要があるとしても、従来型の福利厚生を全てなくしてしまう考え方は、問題だと言えます。従って、人事管理の一つの大きな手段として福利厚生の戦略的な活用を見い出す事が求められていると考えられます。
 
W.戦略的福利厚生の視点
企業の人事処遇政策が、実力主義的なものに変わっていくなかでは福利厚生も事業との関係を考慮しながら再構築する必要があります。
即ち戦略的福利厚生の視点をもつという事です。
まず第一には、実力主義の強化につながるような福利厚生という視点です。例えば、自立的なカルチャーの醸成(自己負担による福利厚生)、転身支援(キャリア開発のための福利厚生)等がこの考え方によるものです。
第二には、実力主義の補充による福利厚生の視点です。実力主義は、高く評価され処遇される社員を生む一方で、そうでない社員も生み出します。昇進昇格に変わるモラール(表彰等の施設等)や安心感や温みの確保(慶弗、給付等)、一体感の醸成(クラブ活動への援助等)の施策がこの考え方に属します。
以上のように、これからの時代、福利厚生のあり方は、戦略的視点で、制度を構築する事が求められていると言えます。

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