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09:2001/02 |
法人成りした場合の個人事業者の所得税の取扱い |
(1)個人事業廃業に伴う税務 |
1)廃業の届出 |
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所得税→ | 廃業の日から1月以内に税務署長に提出(県税事務署長【事】【住】・市町村長【住】にも提出) | |
消費税→ | 速やかに提出 | |
2)減額承認申請書の提出 |
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所得税→ | 第1期、第2期の予定納税の減額承認申請書を翌年7月15日までに提出(通常は法人成りにより、申告納税見積額が予定納税基準額に満たなくなる)。 | |
消費税→ | 直前の課税期間の年間確定消費税額が48万円以下の場合中間申告義務なし | |
3)廃止年分の事業所得の計算 |
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その年の1月1日から事業廃止の日までの収入金額及び必要経費を計算する。 |
@収入金額 | ||
イ |
その年の1月1日から事業廃止の日までの商製品の販売による収入金額 | |
ロ |
廃止時の期末棚卸高の収入金額への計上 | |
(注)仕入原価及び販売価格時価×70%のいずれか多い方を計上 |
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ハ | 貸倒引当金及び退職給付引当金の総収入金額への算入 | |
二 | 債務のうち弁済不要額(免除された金額等)は、債務免除益(雑収入)として総収入金額へ算入 | |
ホ | 自家消費の計上 | |
(注)仕入原価及び販売時価×70% のいずれか多い方を計上 |
A必要経費 | ||
イ |
貸倒引当金の繰り入れは一切できない。 | |
ロ |
事業廃止後に生じた費用は、事業廃止年分にさかのぼって必要経費に参入できる | |
ハ |
廃止年分の所得につき課税される事業税については、その事業税の課税見込額を廃止年分の必要経費に算入できる。 | |
(算式) | ||
(注)当該年分の事業所得には、事業税の計算上、課税標準に加算又は減産されるものを調整した金額である。 |
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二 | 減価償却費は、廃止時までの期間に対応する分を計上する(定額法) | |
ホ | 債権のうち回収不能額は、貸倒損失として必要経費算入 | |
へ | 法人設立のため、個人の債権や債務の整理のために要した費用は必要経費算入 | |
ト | 売上原価は、廃止日までの年初棚卸高と当年仕入高との合計額である。 | |
チ | 法人が個人企業の店舗(他人からの賃借)を引続き使用するような場合の家賃や水道光熱費、通信費等の経費については、個人企業にかかる部分と法人企業にかかる部分とに区別する。 | |
リ | 使用人に対して廃止時に支払う退職金は必要費算入 |
4)個人事業から法人に引継がれる減額償却資産は総合譲度所得になる。 |
5)設立した法人から支払われる役員報酬(役員賞与)は給与所得になる。 |
6)設立した法人から支払われる配当は配当所得になる(配当控除の適用あり)。 |
7)個人資産を法人が使用する事による使用料(家賃・地代・リース料など)は、不動産所得または雑収入として計上。 |
(2)資産・負債の引継ぎ方法等 |
1) |
債権(売掛金・受取手形・貸付金等) |
法人への引継ぎは、回収可能なものに限られる。この場合、引継価額は債権価額。 (注)回収不能なものを法人が引継ぐと、役員賞与を認定される。 |
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2) |
棚卸資産 |
法人への引継ぎは、通常の販売価額で行う。この場合、個人事業者が選定した評価方法に基づく仕入原価及び販売時価×70%のいずれか多い方でもって計上する。 | |
3) |
固定資産 |
土地・建物→譲度時の時価(通常は賃貸) 建物以外の減価償却資産→再取得価額(帳簿価額) |
4) |
債務(買掛金・支払手形・借入金等) | ||
法人への引継ぎは帳簿価額によるが、この場合、債務金額に見合う財産の引継ぎが必要。 | |||
《例》 | |||
買 掛 金 |
1,000千円 | ||
支払手形 |
3,000千円 | ⇒ 法人へ | |
借 入 金 |
2,000千円 |
(法人) |
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(借) |
(貸) |
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売 掛 金 |
2,000千円 |
買 掛 金 |
1,000千円 | |
受取手形 |
2,000千円 |
支払手形 |
3,000千円 | |
器具備品 |
2,000千円 |
借 入 金 |
2,000千円 |
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