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メリット |
デメリット |
1.租税債務の負担方法 |
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法人税の納付は、一義的には親会社が行うが、もしも親会社が納付できなかった場合には各子会社が連帯して納付責任を負うことになる。したがって、連結グループ全体で考えた場合の租税債務額は単体納税を選択した場合と同じだが、各法人単位で考えると租税債務額が拡大するリスクがあることになる。 |
2.事業年度 |
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連結グループ内の各法人の事業年度は親会社の事業年度に統一しなければならない。 |
3.損益通算 |
連結グループ内に黒字法人と赤字法人がある場合には、黒字法人の所得と赤字法人の欠損金が相殺される結果、連結グループ全体では法人税が減少する
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親会社が大法人(期末資本金が1億円超の法人)である場合には、仮に子会社が中小法人(期末資本金が1億円以下の法人)であっても単体納税制度の下では適用されていた中小法人の軽減税率の適用(年間所得金額が800万円以下の部分に対する税金を22%とする特例)がなくなる。また、親会社と子会社がともに中小法人である場合には中小法人の軽減税率が適用されるが、その場合であっても、グループ全体の所得(連結所得)のうち800万円までについて課税が軽減されるに過ぎない。 |
4.内部損益の繰延べ |
連結グループ内の取引のうち特定の資産の譲渡から生じた譲渡利益について、将来その資産を連結グループ外へ譲渡等するまで課税が繰延べられる。 |
連結グループ内の取引のうち特定の資産の譲渡から生じた譲渡損失について、将来のその資産を連結グループ外へ譲渡等するまで繰延べられるため税務上の損金を実現することができない。 |
5.連結グループ内の法人への寄附金 |
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連結グループ内の法人間の寄附金は、金額損金にならない。 |
6.繰越欠損金 |
連結納税適用後に生じた子会社の欠損金について、連結納税を適用しなかったならば繰越期限切れになっていた欠損金であっても、連結ベースで繰越控除されるため(他の会社において生じた所得から控除されるため)、繰越期限切れになりにくい。 |
連結納税制度の適用開始前に生じた子会社の欠損金と(連結納税制度の適用後に)連結グループに加入した子会社の加入前に生じた欠損金については、原則として連結グループに引き継げない。つまり、切り捨てられる。 |
7.資産の時価評価 |
連結納税制度の適用開始時(又は連結グループへの子会社の加入時)には子会社の資産を原則として時価評価するが、仮に評価損が生じた場合には、適用開始前(又は加入前)
の子会社のその適用開始前(又は加入前)の所得と通算され、結果として子会社の法人税が減少することがある。また、評価益が生じた場合であっても、適用開始前(又は加入前)の子会社の欠損金と通算され、結果として法人税が減少することがある。 |
連結納税制度の適用開始時(又は連結グループへの子会社の加入時)には子会社の資産を原則として時価評価するが、仮に評価益が生じた場合には、その評価益に対して課税されてしまう。又は、その評価益が適用開始前(又は加入前)の子会社の欠損金を上回る時には、その上回る部分に対して課税されてしまう。 |
8.個別制度 |
連結ベースで税務上の損金算入限度額を計算した結果、損金算入枠が拡大するものがある。 |
連結ベースで税務上の損金算入限度額を計算した結果、損金算入枠が縮小するものがある。 |
9.連結付加税 |
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連結所得に対して2%の付加税が追加的に課される。 |
10.事務負担 |
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連結特有の所得・税金計算のための事務負担が生じる。 |