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20:2003/10

取引先が倒産し、債権が回収できなくなった場合の法人税法上の取扱い

法人税法では、売掛金等が回収できない場合の貸倒損失額は、原則としてその損失が生じた事業年度の損金の額に算入する事が出来ます。この場合に、売掛金等が回収できないかどうかの判断は、債務者の支払能力に応じて個別的具体的に行われる必要があり、法人税基本通達において3形態に区分してそれぞれの内容を定めています。
(1)債権等が法律により、切り捨てられた場合
債権等について次に掲げる事実が生じた場合には、@からFにより切り捨てられることとなった部分の金額またはGの債務免除額は、それぞれの事実が生じた事業年度において貸借損失として損金の額に算入します。
@ 会社更生法の規定による更正計画の認可の決定
A 金融機関等の更正手続きの特例等に関する法律の規定による更正計画の認可の決定
B 民事再生法の規定による再生計画の認可の決定
C 商法の規定による特別清算に係る協定の認可
D 商法の規定による整理計画の決定
E 破産法の規定による強制和議の認可の決定
F 法律による整理手続きによらない関係者の協議決定で、次に掲げる場合
  a) 債権者集会の協議による合理的な基準により債務者の負債の整理を決定した場合
b) 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がaに準ずる場合
G 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その債務等を弁済することが困難な場合において、その債務者に対し書面により債務免除額を通知した場合

 

(2)債権等が回収不能の場合
債権等について、その債務者の資産状況かつ支払能力等から判断して、その全額の回収ができないことが明らかとなった場合には、その明らかとなった事業年度において、貸倒損失として損金の額に算入することができます。ただし、その債権等について担保物がある場合には、その担保物を処分した後でなければ損金の額に算入することは出来ません。
債権等の全額が回収できないことが明らかとなった場合とは、例えば死亡、行方不明、債務超過等が考えられますが、これらの事例に該当するからといって必ず適用できるというものではなく、あくまで個々のケースごとに判断しなければなりません。
 
(3)一定期間取引停止後弁済がない場合
商品販売の売掛金や建設業の未収工事代金等について次の事実が生じた場合には、その売掛金等の金額から備忘価額を控除した残額を貸倒損失として損金の額に算入することができます。
@ 債務者との取引を停止した時以後1年以上経過した場合(その売掛金等について担保物がある場合には適用できません。)
A 同一地域に債務者に対する売掛金等の合計額が、その地域の売掛金等の回収に必要とする旅費その他の費用の合計額に満たない場合。
a) 売掛金等とは、継続的な取引を行っていた債務者に対する売掛金等に限ります。
b) 備忘価額とは、定められた金額はなく1円でもかまいません。
  c) 取引を停止した時とは、最後の取引、最後の支払期限、最後の支払があった時のうち最も遅い時をいいます。

 

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