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父への感謝状 

先日、父から電話がきた。第一声、
「お父さんは、お前を心配している!」
「(・・…ハイッ???)何?いきなり」と私。
「○子(私の名前)、いいヒトはいるのか?」
全く予期せぬ発言に、二の句が継げない。


 私の父は教員生活37年間を通し、仕事一筋の人だった。一昨年退職し、今では週一回の非常勤講師をこなしつつ、孫達に囲まれ畑仕事に精を出す。現役の時は自分に厳しく生徒に厳しく、そして私(娘)にも厳しかった。平手で殴られたことなど何度もある。それが今ではすっかり人柄も丸くなり、好好爺と化してしまった。しかし、私の中では『怖い父』のイメージがあり、まさかその父から『色恋の話』をされるとは思ってもみなかった。さては時間(ヒマ)をもてあまし、余計な事に気が回るようになったらしい。前々から気にはなっていたが、なかなか言い出せなかっただろう事を話すべく、お酒の勢いを借りて電話してきたのだ。何の前触れも無くいきなり本題に入るあたり、父らしいといえば父らしい。

 私が自活し始めたのは24歳の時である。一般的に言って決して早い方ではない。それまで"親のすねかじり"だったわけであるが、しかし父は、小言一つ言わず好きにさせてくれた。
『バカな子ほどかわいい』という諺が有る。最近、その言葉が身に沁みる。例えば、久しぶりに実家に戻り、朝目覚めると車がピカピカになっている。(年寄りは朝が早い)また、私が自分のアパートに帰る時には、自作の野菜を山のように持たせてくれる。悠々自適の一人暮し、余程大きな買い物や賭博三昧でもない限り、金銭的に困るはずはないのに、「お金は足りているね?」と訊いてくる。今だ学生の友人Nにこの話をすると、彼女にも思い当たる節があるとのこと。どこの親も似たり寄ったり。全く、有り難いものである。
 そんな父に私ができる事と言えば、私への心配事をなるべく減らすように心掛ける、ただそれだけである。そのうち、父が誇れるぐらいの"スバラシイ娘"になりたいものだけれど、いつになることやら?果たしてなれることやら?
お世話になりっぱなしの2○年、恩返しはこれからだ。まだまだ花嫁衣裳は見せてあげられそうにないけれど、別の形で親孝行することでヨシとしよう。バカで良かったと、しみじみ思う今日この頃。 

byToday


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