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日々これ名言集2


前回のコラムから早一年が経ちました。いかがお過ごしでしょうか。この一年もいろいろありました。ありすぎました。ほんとにもう勘弁してって感じです。後で一部紹介しますが人生なかなか平凡にはいかないものだとつくづく感じる今日この頃です。それでは前回に引き続き今回も名言集第2弾ということではじめたいと思います。


その1
発言者:妻
     
『素敵にサイテー』

最近、妻は風呂あがり眉間にしわを寄せながらハサミ片手に悪戦苦闘しています。原因は枝毛。本人曰く“ストレートパーマにしたのが悪かったみたい”だそうです。“だったらいっそのこと変えればー”と言ってもその気配がないところをみると何だかんだいって結構気に入ってるみたいです。そんなある日のこと、いつもの如く枝毛切に精を出す妻を傍から眺めていると、尽きることのない枝毛さんに憤りを隠せないどん詰まり情態の彼女が、なかば呆れ顔の表情で呟いた起死回生の一言。コラムの原稿を考えていた私は“ビンゴー!”とつい叫んでしまいました。
 


その2
発言者:義弟
     
『ゾウってすごいんですよ』


先に断っておきますが、これは動物園へはじめて遠足で行った姪っ子がその日の感動覚めやらぬまま見たこと聞いたことを事こまやかに聞かせてくれた話の中の一言ではありません。実際のところはというと、ゴールデンウィークに義兄家族が動物園に行ってきたということでその夜にビデオ鑑賞会が催されたのですが、その場で義弟が不意に私に向かって語りかけたものです。彼は今年27歳になる身長178センチ、気持ち金城武を思わせる(思っているのは私だけらしいですが)一風変わり者ではあるが普通の社会人。私は言葉に詰まりました。しばらくの沈黙の後、この居心地の悪い状況をやり過ごすためについ「あ〜、だよねー」と当り障りのない返答をしてしまいました。すかさず彼は「ホントですよ!ホントにすごいんですよ!!!」突っ込んできたのです。困りました。っていうか困り果てました。いったい彼は何を言いたいのか?確かに本物はとてつもなくでかいし、鼻はこれでもかってなぐらいやたら長いし、子供のおもちゃで動物といったら像のじょうろだし、小学校で最初に国語の授業で出てきたのは上野動物園のゾウの話だったし(そう忘れもしない『かわいそうなぞう』ジョン、トンキー、ワンリー三匹の像の悲しき運命の物語。思い出しただけで涙が・・・うっっ)、すごいのはわかります。しかしだからといってそこまでムキになっていうほどのものでも・・。“所詮ゾウはゾウやろ”そう思った瞬間ピンときました。結局私は自分なりにこう解釈しました。すごいと感動できることを素直に受け入れられず最後は“所詮”で片付けてしまうそんなつまらない大人になっていた私の荒んだ心に一石を投じようとしてくれたのだと。 “サンキュー!武くん”するとその傍らで彼が“キリンってすごいんですよ!”

その3
発言者:その筋の方
     『すいませんで済んだら弁護士も○クザもいらんのじゃ!!』


詳しいことは申し上げられませんが、それは、ある日ある所へある人を訪ねていったときのことでした。そこは最近よく目にするマンスリーのアパートだったのですが、来客用の駐車場がなかったので私はしかたなく敷地内の空きスペースに停めることにしました。それが悪夢の始まりでした。しばらくして駐車場の方で突然けたたましいクラクションの音が鳴り響きました。“もしや!”私の脳裏にいやな予感がよぎりました。現場へ出てみるとそこには見るからにその筋の方と思われる方がいらっしゃいました。その第一声は“誰んのじゃこれは!”恐る恐るそれが私の車であることを告げると“われーこらー、わしの車が停められんじゃろがー”それは私の予想をはるかに超えるこれまでにない最悪の状況でした。その時私は思いました。“終わった・・・(人生)”走馬灯のようにこれまでの30年間の幸せだった日々が頭をよぎっていきました。その後はただただ平謝り。それに追い討ちをかけるかのような矢継ぎ早に繰り出される言葉は映画でよく耳にする数々の名セリフ。“念書かかんかい!”“兄弟呼んだろか!”この時すでに死後硬直がはじまっていた私でしたが、不幸中の幸いと申しますかそのしばらく後ある方の仲裁で事なきを得ることができました。今こうして何事もなく無事でいることが奇跡です。あー九死に一生とはこの事をいうのでしょう。平凡な日々が、もっといえばアンニュイな毎日でさえこんなにもありがたいものかと実感しています。
最後に一言。“みなさん違法駐車は止めましょう!”

 

その4
発言者:会社の後輩T
     『僕にとっては平日が非日常なんですよ』

 

正月休みも今日で終わろうとする日、我が家へ義弟が訪れたときの話です。いつものことながら休みの不規則な生活がたたり明日からの会社が億劫に感じ始めた最後の日の夕暮れ時、黄昏混じりに私が彼にボソッとひと言“また明日から日常にもどるねー”すると彼が私の意に反して切り返した言葉がこれ。最初は訳のわからないことをいうもんだと思いましたが、よくよく考えてみるとなんとなくわからなくもないような気のする奥深い話だと思いました。混沌とする世情の中、殺伐とした社会との関わりに耐え難いストレスを感じたり、人生の焦燥感に刈られる人々が増えているとメディアで最近よく伝えられるが、そんな中である意味本来の自分を取り戻せる休日こそが日常であると思い込みたくなる意識を反映しているのでしょう。みなさん“非日常”頑張ってますか?

だる男

 


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