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「実釣派が勧めるアジ料理の勧め」
熱しやすく冷めやすい性格の私だが、子供の頃から変わらぬ趣味に釣りがある。私の場合は、バス釣りやヘラブナ釣りにみられる遊釣派ではなく、あくまでも「おいしく食べられる魚を釣る」、「釣ったらリリースせずに絶対食べちゃう」といった実釣派だ。最近は月3回ほどアジの船釣りに出かけている。今からの冬場は型も小さくなり、数も上がらなくなるが、夏場は大アジも交じり30〜40匹程度は釣れるので病み付きになる。最近はアジ釣り専門の解説書なども出るほどで、釣り場ではウエアをビシッと決めた若い女性を見かけることも多くなった。 もちろん釣りも楽しいのだが、一番の楽しみは釣った魚を料理し、晩酌することだ。最近は週4日の休肝日を設けているため、釣りに行った週末の酒は特に美味く感じる。また大漁のときは魚料理を持ち寄って釣り仲間で宴会となるが、そんなときに一工夫したいのがアジ料理だ。マダイ、イトヨリ、ハマチ、サバなどもアジと一緒に釣れるが、何と言っても料理の主役はアジ。そこで、アジを飽きずに食べられるように色々な料理作りに挑戦してみた。 まずは、3枚におろす。アジを捌くには出刃包丁一本で十分。皮を剥ぐ場合には、切り身の頭側の皮を指先で少し剥ぐ。剥いだ身の部分をフキンで軽く押さえて尾の方へ向けて皮を引っ張るときれいに剥げる。腹側の皮は剥がれにくく、デリケートなので少し念を入れる。刺身にするには、脂の乗りが少なく身に固さが残る中アジや小アジの方が私は好きだ。刺身に飽きた場合には、味噌、オオバ、ショウガ、ネギなどを使ったタタキにしてもおいしい。 3枚におろした身は、フライや押寿司にも使える。フライはそれなりに誰でもできるが、押寿司は使う酢の量や、酢飯があまり固くならないように重石の重さに応じて置き時間を工夫することが大切だ。押寿司用の道具がなくても大きめの四角いタッパーがあればそれを工夫して使えばよい。押寿司は食べやすい大きさに切り揃えたら、刻んだネギ、ショウガを上からパラパラかけて盛り付けると彩りもよく、魚臭さを抑えてくれる。次はさつま揚げ。料理酒、豆腐、塩、砂糖、片栗粉、ショウガなどを加えてアジをミキサーですり潰したものをスプーンで丸めて油で揚げる。あまり細かくすり過ぎると食感がなくなってしまうので注意する。 たくさん釣った場合には、アジを開いて内臓を取り、よく水洗いしてから、塩水につけてから一夜干にすると保存できる。新鮮なアジの場合は少し強めの塩水につけないと仕上がり時の塩分が物足りないことが多い。干す際には、網籠(釣具屋さんで売ってる)に入れて日影に干すときれいに仕上がる。また、冷蔵庫の中にラップをせずに入れておいても干物にできるが、冷蔵庫の中が少し魚臭くなるのは避けられない。その他、塩焼き、味噌煮、ドレッシング漬け、甘酢あんかけといったスタンダードな料理以外にも工夫次第で色々と料理できるはずだ。 自分でアジを釣ってくる場合には、釣ったら頭と胴体が離れない程度の深さまでエラ部分をナイフで切り、生き締めにし、血抜きをしておくとよい。よく血抜きした後に海水と氷の入ったクーラーに入れておけば新鮮な状態で持ち帰ることができる。手で首を折ることもできるが、アジの身を傷めたり、背ビレが自分の手に刺さったりすることがあるので、できればステンレス製小型ナイフを使うことを勧めたい。 また、料理する場合に欠かせないのが包丁だ。アジに限らず魚料理の良し悪しは、出刃包丁や柳刃包丁の切れ味が左右する。質の悪い包丁の場合は砥ぎ過ぎると刃こぼれすることがあるので、少し高くても良品を求めるに越したことはないが、どんな包丁でもまずは砥ぐことが大切だ。できれば中目と仕上用の砥ぎ石の2つを準備し、使用後によく砥いでおくことを勧める。切れ味の目安としては、新聞のチラシがスパッと切れる程度まで砥げれば十分だろう。わたしが使っている包丁のうち、柳刃包丁と三徳包丁はホームセンターで買った900円くらいのものだが、マメに砥いでいるので刃こぼれしやすいがよく切れる。包丁を長期間使わない場合や錆びやすい包丁の場合は、水気をよく切ってサラダ油を軽く塗っておくと錆びにくい。釣り道具と同じで料理道具も使った後のケアをきちんとしておけば長持ちする。 釣り好きの人には料理好きの人が多い。もし、料理が苦手だという人は、私のように自分が食べたいと思う酒のつまみを作ることから始めるとよいのでは? 釣りだけではなく、その後の料理まで楽しめるようになると充実感もひとしおだ。 |
by 垂水のフィールドテスター |
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