釣り、野菜作り、ガーデニング、日曜大工などをしていると、ナイフ、剪定鋏、鍬、鋸、鑿、鉋といった刃物が身の回りに溢れてきます。その半分くらいは、実家にあった錆びた年代物を砥ぎ直し、使っています。刃物の中で、最近凝っているのが「包丁」です。「男子厨房に入らず」という言葉もあるらしいですが、私の場合は、釣ってきた魚や畑で収穫した野菜で酒のつまみを作るため、週末は厨房に入り浸っている始末です。
当初はホームセンターで買ってきた手ごろな万能包丁1本で済ませていましたが、調理回数が増えるにつれ、自分の調理内容にぴったり合うマイ包丁が欲しくなってきました。インターネットや出掛けた先で何本か購入し、試してみましたが、最終的には次の2本の包丁に落ち着きました。
一番よく使うのが堺の「船行(ふなゆき)包丁」。これは片刃で刃渡が170cmのもの。出刃包丁の厚みを薄くした形ですが、カボチャなどの硬い野菜はもちろんのこと、鯵(アジ)など小ぶりの魚なら背骨まで切ることができる万能包丁です。ぺティナイフと違って厚みもあり重いので、女性には不向きかもしれません。
次によく使うのが土佐の「柳(やなぎ)包丁」。刺身を切るときに使う片刃の「柳刃(やなぎば)包丁」に一字足らずの名前ですが、柳包丁のほうは両刃です。刃渡が240cmあり、柳刃包丁と同様に刺身を切るときに使います。非常に薄い両刃ですので、素人が同じ幅で薄く削ぎ切る場合には片刃の柳刃包丁よりも安定し、使いやすく感じます。
船行包丁1本で80%、柳包丁が加われば95%程度の料理に対応できると思います。それ以外でたまに使うのは、鰤(ブリ)や鯛(タイ)などの大型魚を捌くときの片刃の出刃包丁、冷凍しておいた猪肉や烏賊(イカ)などを切るときの肉切包丁です。冷凍したものを薄刃の包丁で切ってしまい、刃がクネクネと曲がってしまった経験はありませんか?肉切包丁は厚手のナイフという風貌ですので、冷凍したものを削ぎ切る場合には重宝です。
いずれの包丁も白紙や青紙といった種類の日本鋼を使った打刃物ですので、切れ味は申し分ありません。しかし、ステンレス製刃物と違って打刃物は錆びやすいため、週に1回程度しか使わない私の場合には、洗ってから熱湯を注ぎ、きれいにふき取っておかないとすぐに錆びてしまいます。長期間使わない包丁には、サラダオイルなどを塗ってからしまうようにしています。
また、小気味良い切れ味を保つためには、タイミングをみてきちんと砥いでおく必要があります。私の場合は、使った後に2000番程度の砥石でシャッシャッと簡単な砥ぎを行っています。そして、2ヶ月に1回程度はきちんと鎬(しのぎ)を研ぐようにしています。
独身の頃は、食費を切り詰めるためにカレーや野菜炒めなどをいやいや作るという感じだったのですが、今は楽しみながらゆっくり料理しています。自分が好きな酒のつまみを、そこにあるものや残りもので工夫しながら作る時間は気分転換にもなり、リラックスできます。釣りや野菜作りからの延長線で始まった料理つくりですが、男の料理も捨てたもんじゃありません。鹿児島の男性諸君もマイ包丁片手に立派な趣味として始めてみませんか?
*追伸*
最近は、越えてはいけない一線を越えてしまい、包丁作りに挑戦してみました(法律には抵触していません)。何でもやってみないと気がすまない自分の性分にあきれますが、次回はそれをテーマにしたいと思っています。
by 垂水の穏やかな狼さん
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