トイレでの排泄

ポータブルトイレを使うときの介助

尿器・便器の利用

オムツをあてる

摘便・浣腸

トイレでの排泄

■道具

 洋式便器(温水洗浄機能があれば自分で始末がしやすい)
 手すり(L型手すりのほうが立ち上がり、腰掛け動作がしやすい)

 緊急ブザー・トイレットペーパー・おしぼり・シャワー(あれば望ましい)

■ポイント

 1.排泄のリズムを知った上で、時間をみて誘導する。

 2.便意・尿意の訴えには気持ちよく応じる。

 3.介助は、本人ができないことだけを手早く手伝う。

 4.ゆったりとした気持ちで排泄してもらうためにせかさない。

 5.ブザーなどで排泄の終了を知らせてもらう。

 6.排泄物を観察し、変化に注意し記録する。

 7.転倒の恐れがあるときは、必ず付き添うようにする。

 8.利用者の体調か悪いときは無理をしない。

 準    備 

 トイレと寝室の距離をできるだけ短くするように工夫する。

 トイレまでの通路や壁に手すりをつける

 照明は明るくし障害になるようなものや段差を無くす。

 滑らない履物を用意し床がぬれているときは拭き取っておく。

 トイレ内の手すりやトイレットペーパーホルダーを使いやすい位置にする。

 トイレ内を暖かくし部屋との温度差をなくす。

 排泄しやすい衣服の工夫をし、動作に時間をかけない。

 手順 

 1.トイレに入ったら壁に寄りかからせるか手すりを持たせ介護者が後ろから下着を下ろす。

 2.利用者の両 腕を介護者の首に回させ、抱きかかえるように便器に座らせる。

 3.介護者は、呼ばれてから入り、手すりをつかませ、中腰の姿勢をとらせ、陰部を前から後ろに拭く。

 4.利用 者の足を少し後ろに引かせ、両腕を介護者の首に回させ、立ち上がらせて下着を上にあげる。

TOP

 

ポータブルトイレを使うときの介助

■道具

  ポータブルトイレ

  消臭剤

  トイレットペーパー

  お手拭

  呼び鈴(ブザー)
  下敷き用マット

    (厚手のビニルシート)

■ポイント

 1.ポーブルトイレはベットと同じ高さにし、寝たときの健側に置き、使うとき

  に手すりの近くに置くと使いやすい。

 2.利用者のプライバシーに気を配る。

 3.室内の換気・臭気に気を配る。

 4.残存機能にあわせて介助する。

 5.便器の下に敷物を敷き利用者が安全にできるようにする。

 準    備 

 ポータブルトイレは、ベットの足元に置く。

 呼び鈴やトイレットペーパーなどは、すぐに手が届くワゴンの上などに置く。

 ポータブルトイレの内側のバケツの中にトイレットペーパーを2ー3枚敷いておく。

 プライバシー保護のため、スクリーンなどで囲う。

 寒いときには、暖房を入れておく。

 ポータブルトイレの滑り止めと、また汚れてもよいようにビニルの敷物などを敷き、その上にポータブルトイレ

 を置く。

 

 手順 

 トイレは寝たときの健側に置き、健側の肘で支えて起き、介護者は、膝をさえる。

 介護者は、膝を曲げ背を低くして前に立ち、利用者は健側の手で介護者の肩またはベットの柵につかまり

 立ち上がる。

 利用者は、健側の足を前に出し、軸にして体を回し、衣服をはずし、トイレに腰掛ける。

 介護者は、退出し呼ばれるまで入らない。

 排泄が終わり、呼ばれれば始末などの介助を行う。

 

 後始末 

 お手拭か手洗いの道具を準備する。

 換気、消臭を手早く行う。

 中の容器は、蓋をしてトイレで処理する。

 昼間は、中の容器を排泄のたびに洗浄する

TOP

尿器・便器の利用

■道具

 尿器(男性用・女性用)

 便器(差込式便器(洋式・和式))

 便器カバー

 トイレットペーパー

 タオルケット

 座布団

 手洗い用の湯とタオル

 防水シート

 ティッシュペーパー

 呼び鈴

■ポイント

 1.便器は清潔で暖かくし寒気を与えないようにする。

 2.排泄にすぐ応じられるように手を温めておく。

 3.無理な体位を避け、安全な技術で行う。

 4.室内の臭気や換気に気を配る。

 5.使用中はタオルケットなどをかけると落ち着く。

 6.尿が出にくいときは、陰部にぬるま湯をかけたり、暖かいお絞を当てる

     と効果的。

 7.必要な場合は、排尿時間、排尿量、色の異常などを記録する。

 準    備 

 ベットの腰あたりに防水シートを敷く。

 尿器・便器が冷たくないようにパッドを当てる。

 露出部をなるべく少なくする。

 後処理がしやすいように便器に2、3枚のペーパーを敷いておく。

 

 手  順 

 

尿器の場合

 男性は、足を開いてもらい、受尿口に陰茎をしっかり入るようにする。自分でできる場合は、介助者は

 尿器を渡して退出する。本人は横向きなど、やりやすい方法で行う。

 女性は、尿器の口を尿道口と肛門の間に当てて密着させる。ティッシュペーパーをおり陰部に当てると、

 飛散防止と尿器への誘導になる。両膝は軽く閉じる。

 

便器の場合

 1.利用者を側臥位にし、防水シートを敷き、下着を下げる。

 2.便器を裾のほうから差込み、臀部の中央(仙骨部)間でいれ密着させる(肛門の下に便器の中央が来るよ

  うに深く入れる)。利用者に苦痛がないか聞く。

 3.女性の場合は、尿が飛び散らないようにティッシュペーパーを折り、股の間にはさみ、膝を合わせ、足先

  を開かせる。呼び鈴を置く。腹部はタオルケットで覆う。

 4.呼び鈴が鳴ったら便器、防水シートをとり、下着を着る。排泄物を観察、始末し、換気する

 

 差込み便器の当て方

 

腰が上がる場

 足を軽く開き「1、2、3」で腰を上げてもらい、臀部に便器を差し込む。

 

腰が上がりにくい場合

 ふろしきなどを使って腰を持ち上げ、便器を差し込む。

 

腰が上がらない場合

 利用者を側臥位にして肛門が便器の中央にくるように当てる。

 位置を確認しながら、ゆっくり仰臥位にする。

TOP

オムツをあてる

■道具

 おむつ(必要枚数)

 おむつカバー

 おしぼり数枚

 布切れ

  (使い捨て布

   トイレットペーパー

   または

      ティッシュペーパー)

 ぬるま湯の入った容器

 バケツ・スクリーン

■ポイント

  1.おむつはできるだけ避けるようにする。最後の手段であることを

  忘れない。

  2.介護者の都合でおむつをしない。

  3.新しいセットを用意してからはじめる。

  4.露出部分をできるだけ少なくする。

  5.男性は前の部分を女性は後ろの部分を厚くする。

  6.腹部を圧迫しないように下腹部でおむつを固定する。

  7.下肢を動かしやすいように股関節部は圧迫しない。

  8.おむつカバーからおむつがはみ出さないようにする。

  9.腰部にしわや縫い目がこないようにする。

 10.尿量に応じておむつの枚数を加減する。

 11.利用者の排泄間隔を読み取り、排泄物で汚れて不快になっいてる

   時間を短くする。

 12.1日1回はぬるま湯で陰部洗い乾いた布で水分を拭き取る。

 13.陰部や臀部の清潔・乾燥に努める。

 14.排泄物形状や皮膚の変化の観察をし異常発見に努める。

 準    備 

 スクリーンをして、おむつの交換することを伝える。

 おむつカバーとおむつをセットし、裾のほうに置く。

 おしぼりを使いやすいように用意しておく。

 掛け寝具は、足元に扇子折にする。

 介護者の手は温めておく。

 寝衣の腰部を広げる。

 おむつカバーのボタンや前ひもをはずす。

 手  順 

 

基本

 1.おむつは、しわを伸ばし、男性は前部、女性は後部を厚くする。

 2.ずり落ちないように、上端は腸骨部に合わせる。

 3.腹部は両手が入る程度、鼠蹊部は片手が入る程度のゆとりをもたせ、圧迫し過ぎないように、

  かつ動きやすいように当てる。

 4.腹部・鼠蹊部からおむつが出ていないことを確認してから、おむつカバーを当てる。

 

おしりがあげられる場合

 1.おむつを開いて腹部を圧迫し、尿や便の残りがないか確認してから、汚れたおむつを丸めて陰部の

  清拭をする。

 2.利用者の膝を立て介護者の片方の手を腰に差し入れ、肘をてこにして臀部を挙上させ片手でおむつを

  抜き取る。

 3.2と同じ要領で腰部を挙上させ片手でおむつを抜き取る。

 4.おむつとおむつカバーの中心が殿裂と合っている確認してから当てる。

 

おしりが上げられない場合(側臥位での方法)

 1.おむつを開いて腹部を圧迫し、尿や便の残りがないか確認してから、汚れたおむつを丸めて利用者を

  側臥位にする。

 2.陰部や臀部をぬるま湯で前から後ろへ洗い流し、水分を乾いた布で拭き取ってからおむつを抜き取る。

 3.古いおむつカバーを追い込むようにして、縦に丸めた新しいセットを腰の下へ差し込む。

 4.体を仰臥位にして古いおむつカバーをはずし、新しいセットを広げ腰の部分にしわがよらないように

  注意をして、またぐりを合わせ中心を合わせる。おむつカバーをする。

TOP

摘便・浣腸

■道具

 薄いゴム手袋

  (使い捨てポリ手袋

   ラップ、ポリ袋でもよい)

 潤滑油

  (食用油かコールドクリーム)

 浣腸・蒸しタオル・便器

 紙おむつ・座布団・タオル

 バスタオル

 下敷き用ビニルシート

   (大きなポリ袋)
 スクリーン

■ポイント

 1.浣腸は、摘便より抵抗感が少ないが薬剤を注入してから少し排便を

  がまんするときに、血圧が上がったり苦しくなることがある。まれに便が

  溶けずに失敗することもある。。

 2.摘便は肛門近くに便が着ているときに行う。

 3.摘便は便を指でかき出すため羞恥心を伴いがちだか、手際よく行うと、

  あまり負担がない。

 4.摘便は「痛くない」ことを伝えて納得してもらう。

 5.摘便である程度便を取り除いてから浣腸をしてもよい。

 6.上側の足を向こう側にかけると、腹壁の緊張がやわらぎ肛門が見や

     すい。

 7.バスタオルなどを当て露出部を少なくする。

 8.大きなポリ袋を敷くと始末がしやすい。

 準    備 

 スクリーンをして、摘便(浣腸)することを伝える。

 よく説明をする。

 蒸しタオルでおなかをじっくり温める。

 左下の直腸に向けて大きくマッサージをする。

 手  順 

 

摘便のしかた

 1.左側を下にし側臥位にする。そのとき、背部に座布団または大円座を使用する。

 2.摘便の処置中に利用者に体の力を抜き、口で大きくゆっくりと呼吸してもらう。

 3.薄手のゴム手袋をつけ、指先と肛門に潤滑油を塗って滑りやすくし、おなかに向けて指を静かに挿入し、

  便のかたまりを少しずつ砕いてかき出す。自然に出そうになったら、便器を差し込む。

 4.終わったら、汚物を始末し、蒸しタオルで拭くか、ぬるま湯で洗い、乾いたタオルで拭く。

 5.手早く消臭・換気を行う。

 

浣腸のしかた

 1.左側を下にし側臥位にする。そのとき、背部に座布団または大円座を使用する。

 2.肛門を広げ、浣腸を差込み薬液を注入する。

 3.しばらくがまんしてもらったあとに便器に排便してもらう

TOP