(3)オープン直後3カ月以内にやっておくべき事

1)創業直後3カ月以内にやっておくべき事

営業店舗(事務所)の実績データを分析し、立地特性にあった品揃え、価格設定、営業時間帯、ターゲット層、接客・販促手法の見直しを行い、オープン前にイメージしていたものとの食い違いを明らかにして、取り組みの修正を行う事です。

駅前、繁華街 近に住宅がなく、ショッピングや遊び目的の人が多く集まるエリアです。従って、年齢、性別に関係なく、平日より休日に人が多く集まります。このような立地特性を踏まえたうえで実績データを分析して、問題点を整理しましょう。
商店街 住宅街から多くの人が集まってくエリアになるのが特徴です。従って、主婦層やお年寄りが、平日の午後から夕方にかけて集まって来ます。メイン商品・サービスを中心にして、幅広いラインアップを充実させる必要があります。
オフィス街、学生街 会社員や学生などの固定客が見込めるのが特徴です。ただし、休日や夏休みに落ち込むのが普通です。飲食店だとモーニングやランチ需要が高いので、メニュー構成やサービス内容を限られた時間内(売り筋時間内)にさばく工夫が要ります。セットメニュー価額についても顧客動向を入念に分析しましょう。
住宅街、郊外 住宅街の地元民が対象。従って、住宅街の雰囲気や住んでいる人の生活習慣、家族構成等を調査(アンケート)し、その調査結果を分析した上で、実績データとの食い違いを明らかにして、ラインアップを充実させることが必要です。

2)お客様に満足していただける接客術を身につけましょう

[1] 自店舗の商品について十分な知識を身につけておく

お店で取り扱う商品の知識は、幅広く準備しておきます。使用する素材、産地、との違い、作り方、商品の歴史や由来等、来店客が興味を持ちそうな部分は、しっかりと押さえて、オープン後の不手際等を整理し、マニュアル化しましょう。

[2] 取扱商品やサービスに関連する手法を提案できるようにする

提供する商品やサービスを購入してもらうためには、関連分野の知識を提供して動機づけできるよう勧める商品について関連する機能や特徴をオープン直後の経験を踏まえて整理し、有意義な活かし方等を一言添える配慮を身につけましょう。

[3] コミュニケーションを忘れない

来店・来所して頂いた顧客や関係者の印象に残るかどうかの度合いは、商品やサービス機能の良し悪しはもちろんですが、接客時のコミュニケーションの度合(印象度)が、影響します。従って、身だしなみの徹底、接客基本用語、態度等の再教育をオープン3か月間の実績状況を見て再実施しましょう。

3)立地特性を活かした開店後の告知方法の見直しを実施しましょう

オープン後の広告・集客手法の費用対効果を分析して、立地特性にあった効果のある商圏告知手法に改めるべきです。

[1] チラシ

パソコンを使用すれば好きなデザインで簡単に作れて、安価なコストで活用できるのが特徴。新聞折込み、商圏を絞ったチラシ配布、集会所等での拠点配布など、運用を自由に決められるのもメリットがあります。

[2] ポケットティッシュ

男女にかかわらず、チラシよりも受け取ってもらえる確率が高い。形や大きさなどある程度決まってくるが、宣伝入りの台紙を入れるもの、袋に直接印刷するもの、チラシを添付するもの様々である。実用的な分、人目に触れる機会も多いです。

[3] フリーペーパー

発行部数が多いのが特徴だが、競合店も数多く掲載されるので、目に付くようなロゴやキャッチコピーを決められた数字でつくらないといけないのが、難点である。とにかく、多くの人に知ってもらいたいと言うのなら、効果的です。

[4] ホームページ(ソーシャルメディア)

今や、ホームページやソーシャルメディア(ブログ、Twitter、Facebook、LINE、ネットCM・動画等)を活用して、商圏市場に認知してもらう手法は、当たり前になりつつあります。特に、ソーシャルメディアとカタログ機能を持つホームページとの併用は、ネットワーク時代の告知手法として、テレビに匹敵する効果を上げつつあります。是非、ホームページやソーシャルメディアの効果的な活用手法を習得して、安定した事業基盤を構築したいものです。

[5] あいさつ回り

営業店舗(営業所)がある地域の方々への挨拶回りは、オープン前には当たり前に行われていますが、オープン後に感謝の念を伝える意味で再訪問するのも良いと思います。その際、営業店舗(営業所)を訪れてもらうために、割引券や招待券を持参するのも効果的です。自店の商品やサービスについて広報してもらえるような仕掛けを工夫しておきましょう。

4)管理体制の整備を忘れずに

事業に関連した行政監督官庁(保健所、消防署、税務署、社会保険事務所、労働基準監督署、ハローワーク等)への届出を忘れないのはもちろんですが、今後事業者として業務を運営していくためには、店舗や従業員等を管理していくための運用マニュアルやル−ルを作成して、整えておく事が必要です。

特にオープン後の販売実績を確認して問題点を把握し、適時に改善策を実施していくための前提となる日々の売上について、商品別、地域別、客数、客単価、売れ筋商品、仕入金額、労働時間等を記録した帳票類の準備・整理は非常に重要です。オープン後の思うように売れない原因調査のヒントを提供してくれる取引の記録・整理(会計記帳)は、事業を安定して継続していくための前提条件でもあります。

従って、オープン後3か月以内に、数値データを入手し分析できる数値管理の体制をしっかりと整理しておきましょう。


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