春分の日特集

春分の日の由来

 

現在は、国民の祝日に関する法律で{自然をたたえ、生物をいつくしむ日}として祝日になっていますが、だいたい3月19日〜3月22日の間に決定される事が多いようです。

 

正式には、前年の2月1日に国立天文台が作成する{暦象年表}という小冊子に基づいて閣議で決定されます。

 

春分とは、太陽が真東から昇って真西に沈むので、昼と夜の長さが同じになる日と言われています。立春から数えると既に春半ばですが、{暑さ寒さも彼岸まで}と言われるように、厳しい冬を耐えてきた生き物が、前向きにやる気に満ち溢れる時期が春分の日の頃であり、{自然をたたえ、将来のために努力する日}と法律で定めて祝日にしたのも、解るような気がします。

 

昔から、お彼岸の中日として春の訪れを祝い、祖先に感謝する日としてお祭りを行ってきた春分の日は、暮らしの中で繊細かつ豊かな季節感を養ってきた日本人にとって、卒業・入学、移動・就職と言った別れと新たな出会いをもたらす節目の季節の訪れを告げる日でもあります。

 

春分の日の供養

 

昔から春分の日の前後3日間ぐらいの1週間をお彼岸として、一般家庭で
行われる先祖供養(お墓参り)が春分の日(お彼岸の中日)の供養です。

 

春分の日は、太陽が真西に沈むので、真西には極楽浄土があるという
仏教説話から先祖の霊を供養する仏事が行われるようになりました。

これは、西方極楽浄土の信仰と結びついた日本独自の行事です。

 

お彼岸とは、生死の境目にある河の向こう側を彼岸(あの世と解釈する)と呼び、
春と秋の2回(春分の日と秋分の日)彼岸会の供養を行います。

彼岸会の時には、在家では仏壇を丁寧に掃除し、
また墓参りする時には団子を作って供える事が広く行われているようです。

 

お彼岸の供養の仕方については、

  1. お彼岸の入り日に、仏壇の両側に一対の団子を供え、
    団子は山型になるように盛ります。
  2. お彼岸の中日(春分の日)には、
    仏壇におはぎ(又はぼた餅)をお供えします。
     
  3. お彼岸の明けの日(最後の日)には、
    再び仏壇に団子をお供えをします。
     
  4. お彼岸の期間中に先祖の墓参りをし、
    墓参りには、花・団子・お菓子などを持参します。

ぼたもちの「ゆんフリー写真素材集」からお借りしました

春分の日の花

 

春分の日の花と言うと、どうしても春のお彼岸に供える花という事になります。

 

秋の彼岸花・曼珠沙華に対して、春の彼岸花・金セン花と言うのが一般的ですが、春分の日という季節に相応しい花と言えば彼岸桜やミツマタの花、そして牡丹の花ではないでしょうか?

 

彼岸桜は、バラ科の花であり、少し寒さが和らいでくる3月中旬ぐらいから咲き始め、ソメイヨシノなどの桜に先駆けて咲きます。満開の時期がちょうど春分の日の頃になるため、彼岸桜と呼ばれるようになりました。花言葉としては心の平安を意味しているようで、長い冬眠から覚めた動物たちが生命の息吹に満ち溢れる様を象徴する花としてぴったりです。

 

ミツマタの花は、三つに分岐する枝に咲くため、三枝の花と書く事もありますが、春の訪れを待ちかねたように咲く花で、春の訪れを告げる花とされている事から春分の日の花として相応しいのではないでしょうか?淡い黄色の花を一斉に咲かせるのが特徴です。なを、園芸種では、朱色の花をつけるものもあり、赤花三枝と呼ばれているようです。

 

最後に牡丹の花ですが、百花の王とも呼ばれる牡丹の花は、富貴花とも呼ばれるように、華やかな花です。春分の日にぼた餅を供えるのも、{牡丹の花が咲く頃にあやかって}との意味合いから 、牡丹の花を象徴して供えたものです。この事からも春分の日に最も相応しい花かも知れません。

春分の日の贈り物

 

春分の日の贈り物と言えば、どうしてもお彼岸と切り離して考える事ができません。お彼岸の贈り物と言えば、御供え物と言う事になります。

 

御供え物の定番は、花、果物、お菓子、精進料理等です。

 

花なら金せん花、果物ならメロン・伊予柑・イチゴ・キウイなど、お菓子ならぼた餅と言ったところでしょうか?


ところで、ぼた餅(一般的におはぎの事をいい、春に食べるおはぎの事をぼた餅と言う)は、彼岸菓子とも呼ばれ、こしあん、粒あん、白あん、抹茶あん、黒ゴマ、白ゴマ、きな粉、青のりなど、現在では嗜好を凝らしたおはぎ作りが行われているようです。

 

ぼた餅とは、半つき、または蒸したもち米とうるち米にあんをつけたもので、牡丹の花のようなので{ぼたん餅}と言われるようになりました。

 

ぼた餅は、元禄時代の書物に{民家の食にして貴人の食するは稀なり}と記されている事からも明らかなように、庶民的な和菓子として今日に伝えられています。

 

江戸時代の後期には、お彼岸に配る風習があったらしく、文政年間に書かれた{馬琴日記}にもその記述が見られるようです。

 

いずれにしても、地域特有のぼた餅を、心をこめて春分の日に贈るのも良いのではないでしょうか?

春分の日の料理

 

春分の日の料理と言えば、どうしてもお彼岸の料理と言う事で、精進料理と言う事になります。精進料理の精進とは仏の教えからきている言葉ですが、美食を戒め粗食であれとの教えから、肉類魚介類を使用せずに穀物・豆類・野菜などの食材だけで料理したもので、だしも、こんぶ・しいたけなどの精進だしを使うのが一般的です。

 

食材の味を生かすために調味料の使用を抑え、食材を余すところなく使い切って、無駄を出さないのも精進料理の特徴です。高野豆腐や雁もどき、油揚げ、にんじん、いんげん、たけのこ、こんにゃくなど、地味な食材が多く使われているのもうなずけます。

 

ところで、料理を作る際に最も重要な事は、食べてくれる人々の事を第一に考えて心を込めて作る事だそうです。「真心を込めて料理を作れば、作り手の料理に込めた思いが食べてくれる人々に伝わり、食材に関係なく美味しいと思って頂ける」この事が精進につながり、教典を読むことや座禅をするのと同じような修業にも通ずるのだと禅宗の典座教訓にもあるようです。

 

最近では、タンパク源として肉や魚を食べるのは当たり前ですが、お彼岸の中日(春分の日)ぐらいは、肉や魚を除いた精進料理を食べて食の贅沢を戒めて見るのも良いかも知れません。


 

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