2006年7月21日改訂

  1. 経理ってなに?
  2. 経理の目的は?
  3. 経理の流れ
  4. 経理はなぜ必要なの?
  5. 経理事務に必要な基礎知識
  6. 複式簿記の基礎知識
  7. 資本の調達
  8. 資本の運用

 

経理ってなに?

会社は、設立と同時に資本金、出資金といった元手で商売を始めるわけですが、その企業活動につれて発生する取引を一定のルールにしたがって処理するのが会計であり経理です。

 

経理の目的は?

人間が生きていくためには衣食住が欠かせないように、会社が企業活動を継続させていくために売上を伸ばし、利益獲得追求のための営業とその経営成績、財産状態を把握する 経理が必要なわけです。つまり、経理とは、経営活動の成果を数値で表現し、それらの数値を管理・分析するスタッフ機能を果たすことがその目的とされます。

 

経理の流れ

経理は、取引事実の発生→関連証票(納品書、請求書、諸計算書等)の整備保管→会計伝票の起票→補助元帳、総勘定元帳への転記→月次試算表の作成→年間試算表の作成→決算整理事項による修正→貸借対照表、損益計算書、利益金処分計算書の作成という流れをもっています。

<図1>
取引事実
の発生
会計伝票
の起票
総勘定元帳
への転記
試算表 決算書
         
関連証票を明確にファイル保管   現金出納帳等をはじめとする補助元帳への転記     月次及び
年間作成


 
              決算整理事項
による修正

 

経理はなぜ必要なの?

 経理の目的は、計数を管理し、分析するスタッフ機能を果たすことを目的としますが以下のような点からも必要とされます。


(1)日常業務の記録を残す

日々の企業活動を取引事実の記録という形で残す事により、後日問題が生じた場合に、追跡調査をするときに非常に役立ちます。

 

(2)比較・分析に役立つ

日々の取引記録をもとに作成した試算表および決算書等により残高項目、損益項目の月次及び対前期比較によって現状が異常か正常かの判定を非常に楽に行う事ができます。

 

(3)経費の節減ができる

整理された会計帳簿や決算書などがあると、自ずとそこにはコントロール機能が働いてくるものであり、経費の無駄の節減、あるいは排除することが可能となります。

 

(4)誤謬・不正の発見防止に有効

経営機能が有効に作用していると、誤謬、不正等の発生が皆無とはいかないまでも、極力低く抑えるが出来ます。

 

(5)税金計算の基礎資料を作成してくれる

会社が、経理機能に基づいて作成する決算書は法人税等の基礎資料となります。このように経理は、税金計算の基礎資料の提供という付随機能をもっています。

 

(6)資金繰りに役立つ

資金繰りは資金繰計画に基づいて実施されるわけですが、資金繰計画は帳簿記帳数値の分析、比較により、導き出されるものです。したがって資金繰計画は、経理サイドの営業といっても過言ではありません。

 

(7)貸倒債権発生の防止に役立つ

会社が存続し発展し続けていくためには、売上げた債権の管理を充実し早期に回収を実現しなければなりません。経理による債権残高管理の徹底は貸倒債権発生の防止に重要な意味をもっています。

 

(8)予算コントロールが可能

経理は、予算編成作業に必要な基礎資料を提供します。そして編成された予算に基づき、運用が適切に行われているか否か、予算実績対比をし、期中においての指針を示し、常にコントロールする役割をになってい ます。

 

 

経理事務に必要な基礎知識

経理を実践するためには、複式簿記の基礎知識を必要とするわけで、この複式簿記では、借方(左側)、貸方(右側)というものがあり 、この借方と貸方の金額が必ず一致することになっています。
この借方、貸方の科目と金額を伝票に記載することが伝票起票です。この起票された伝票から総勘定元帳への転記を行い、残高試算表を作成することになります。この残高試算表から財務諸表(損益計算 書や貸借対照表)を作成します。

<図2>

 残高試算表から分解されて、貸借対照表と損益計算書が作成されます。

 

複式簿記の基礎知識

(1)勘定科目

財務諸表を構成する貸借対照表や損益計算書は、約束に従った勘定科目が定められています。
 

貸借対照表
の勘定
資産の勘定 現金・預金・受取手形・売掛金・有価証券・商品・製品・原材料・前渡金・建物・機械装置・土地など
負債の勘定 支払手形・買掛金・短期借入金・未払金・未払費用・長期借入金など
資本金の勘定 資本金・資本準備金・利益準備金・任意積立金など
損益計算書
の勘定
収益の勘定 売上高・受取利息・受取配当金・有価証券売却益など
費用の勘定 給料手当・旅費交通費・通信費・支払利息割引料・有価証券売却損など


 

(2)勘定科目の仕訳例

複式簿記では、取引の発生事実に基づいて、勘定科目を左側(借方)に記入するか、右側(貸方)に記入するか下記のようなルールがあります。
 
増加(発生) 減少(消滅)
資産の勘定
負債の勘定
資本の勘定
収益の勘定
費用の勘定


(例1)資金1,000万円を出資して会社を設立した。

(借)現金 10,000,000 (貸)資本金 10,000,000
(資産の増加) (資本の増加)


(例2)その資金でもって営業用の車200万円を購入した。

(借)車両運搬具 2,000,000 (貸)現金 2,000,000
(資産の増加) (資産の減少)


(例3)その資金でもって商品を仕入れ、その代金100万円を支払った。

(借)仕入 1,000,000 (貸)現金 1,000,000
(費用の増加) (資産の減少)
 

 

資本の調達

企業活動は、資本の調達から始まります。経営を始めるにあたって調達した資金のことを「もとで」ともいいます。経理用語では、これを「資本」と呼んでいます。
ところで、今日のように成熟した市場の中では、飛躍的な売上拡大は難しくなってきています。そういった中で、借入といった他人資本中心の経営を安易に続けることは危険です。従って、低成長時代に生き残っていくためには、身軽な健全経営体質にすることが大切です。他人資本依存の体質から、 自己資本中心の体質に改めるそれが今の経営者に求められる経営手腕です。
 

(1)自己資本

自己資本とは、株主及び企業内から調達されたもので、事業開始にあたっての出資額、それ以後の追加出資額(資本金や資本剰余金)、年々の利益の蓄積額(利益剰余金)からなります。

  1. 資本金
    当初の元入の部分、あるいは増資部分からなります。例えば、会社の設立にあたって発行価格5万円の株式を1,000株発行した場合の資本金は、1,000株×5万円=5,000万円 となります。つまり株主が出資として企業に払い込んだ金額をいいます。
  2. 資本準備金・利益準備金
    株式払込剰余金のうち、資本金としなかった部分が資本準備金であり、金銭等による利益の配当にあたり、会社法の規定により積み立てられた額が利益準備金であります。
  3. 剰余金
    決算利益のうち、株式総会の決議により積み立てられた処分済の留保利益(任意積立金)や配当等として社外に出て行かなかった利益のうち株主総会でその処分が決まっていないものをいいます。

 

(2)他人資本

企業の実情によっては、どうしても自己資本が不足するという事はあるわけで、この場合に他人(自社以外)から資本を調達する形態 として以下のようなものがあります。

  1. 借入金
    設備資金や運転資金を銀行からの借入れによる方法
  2. 買掛金・支払手形・未払金
    設備や商品等を購入した場合の支払いについて、猶予を受ける方法
  3. 預り金
    社員の給料から差し引いた所得税や健康保険等あるいは消費者からの仮受消費税を税務署や社会保険事務所に納付するときまで、一時的に会社が預かっている資金
  4. 社債
    設備資金(長期資金)を調達するために、会社の債権の発行による場合
  5. 内部資本
    運転資金(短期資金)を一時的に調達するために、社内預金制度(社員からの積立金)を利用する場合
     

 

<図3>

調

 負  債 (他人資本)
 ◎ 支払手形(支払期限一年以内)
 ◎ 買 掛 金
 ◎ 借 入 金(返済一年以内)
 ◎ 未 払 金
 ◎ 預 り 金
流 動 負 債
 ◎ 社  債
 ◎ 長期借入金
固 定 負 債
自 己 資 本

 

資本の運用

企業で調達された資本(資金)は、必ず運用されることになります。資本の運用とは、生産販売に必要な原材料・設備・人件費等の諸支出や販売活動による収益の獲得、獲得した利益からの借入金等の返済という形で運用する事をいいます。このように 、運用した結果を一会計期間の費用、収益という形で表示したものが損益計算書であり、一会計期間の一定時点において運用したものがどのような資産として残っているかを示したのが、貸借対照表です。

(1)損益計算書(費用および収益)

  1. 費用
    経理上、費用とは収益を得るために犠牲になった部分という事になりますが費用の経理上の区分は以下のようにまとめることができます。
     
職能区分 費用発生要因 勘定科目 損益計算書の区分
仕入製造 商品の仕入れや製品の製造そのものにかかる費用 商品仕入
材料仕入
工場労務費
工場経費
売上原価
営業 営業活動にかかる費用 営業人件費
販売手数料
通信交通費
販売費
管理 経理、総務や企業全体の管理に必要な費用 管理部門人件費その他、管理的要素に伴う費用 一般管理費
財務 財務的活動に伴う費用 支払利息 営業外費用
  1. 収益
    経理上、収益とは商品、製品の販売やサービスの提供によって得られる収入をいいます。なお、これらの収益以外にも、資本運用の結果として、銀行に預けている預金から発生する利息、資本と他企業の株式に投資、運用して得られる配当も収益という事になります。収益を経理上細分化すると以下のようになります。
1)売上 高
 (営業収益)
企業本来の営業活動による商品や製品の販売収益
2)営業外収益 本来の営業活動に付随する行為に基づいて発生する収益
(例)受取利息等
3)特別利益 経常外の活動で生じた臨時的な収入
(例)固定資産売却益等

 

<図4>

損 益 計 算 書

売 上 原 価 売  上  高
(営業収益)
販  売  費
一 般 管 理 費
営 業 外 費 用 営 業 外 収 益
特 別 損 失 特 別 利 益
当 期 利 益

 

 

(2)貸借対照表(資産の部)

貸借対照表の資産の部は、調達した資本を投下して運用した一定時点における結果を表示しますが、その運用形態は以下のように分かれます。

  1. 現金
    金銭の状態のまま資産
  2. 普通預金・定期預金・定期積立金等
    金融機関に預金として預けられた資産
  3. 売掛金・受取手形
    販売の結果としての代金回収の権利としての資産
  4. 商品・製品・仕掛品等
    棚卸資産として次期以降に販売されるのを待っている資産
  5. 土地・建物・機械等
    経営の基盤となる設備資産
  6. 創業費・開業費・開発費等
    商法の規定により次期以降の収益に対応されるために繰り延べられる資産

 

以下のように運用結果として分かれた資産を、貸借対照表では金銭そのものの資産や債権を回収する事により、金銭かしやすい資産を「流動資産」とし、また資産化まで長期(通常1年異常)を要する資産を「固定資産」として区分しています。
なお、貸借対照表では、資本の調達源泉を右側(他人資本、自己資本)にその運用結果を左側(資産)に示すことになります。
 

<図5>

貸 借 対 照 表





流 動 資 産 流 動 負 債


調


固 定 資 産 固 定 負 債
繰 延 資 産 資  本
資 産 合 計 負債・資本合計

 

 


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