財務分析 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
これまで、経営分析の意義と内容につい学習してきました。経営分析には定量分析と定性分析がありますが、定性分析の基礎となるのが定量分析です。ここでは、これまで学んできた財務諸表の見方(基礎)を前提に経営の姿を計数的に読み取る
為には、どの様な視点で数値を見れば良いのか、個々の数値をどのように整理し、比較する事によって経営的意味のある数値として読み変える事ができるのかを見ていきます。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(1)財務分析の意味と内容 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
財務分析とは、経営の総合的成果を表示する財務諸表について、経営の収益性、成長性、生産性、安全性等を総合的に診断し判断する為の手法をいいます。尚、総合指標と意味・内容については、以下の通りです。 (図3)
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2)収益性分析 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
収益性とは、企業経営の成果の獲得状況を意味し、その収益性を判断する為の指標として総資本回転率と売上高経常利益率とがあります。
1)総資本回転率 <算式>
(注1)売上高の他に、営業外収益をプラスして考える場合もあります。 上記算式からも明らかなように、総資本回転率は、企業に投入されている総資本が年間に何回転して売上高を形成するかという内容を示しており、総資本の中身をたどる事によって(図4)のように分解する事ができます。 (図4)
(図4)からも分かるように、固定資産、棚卸資産、売上債権、それぞれの回転率を高めない限り、総資本回転率も上がらず収益性も向上しない事が分かると思います。 尚、総資本回転率判断の為の補助指標として、以下のようなものがあります。 (図5)資本の生かし方
(注1)
2)売上高経常利益率 <算式>
ところで、売上高経常利益率は損益計算書の経常利益がもたらされる過程をたどる事によって(図6)のように分解する事ができます。 (図6)
(図6)から見ても分かるように、経常利益は粗利益から人件費や諸経費並びに財務費用等を控除した結果であり、当然これらの金額の大小により、売上高経常利益率の善し悪しも決まるという事になります。
従って、売上高経常利益率が低下した場合、商品力に問題があるのか、労働生産性の低さに起因しているのか、経費の使い方に起因しているのか、さらに財務力の問題なのか、それぞれの理由を経営の実態と照らし合わせて分析する必要があります。 (図7)利益のあげ方
(注1) |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3)成長性分析 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
成長性とは、企業の将来への安定拡大の可能性を判断する為の指標です。成長性は、工場の操業度や利益の伸びでは判断できず、得意先が増えているか、シェアが伸びているか、これらのバロメーターとしての売上が伸びているかで判断しますが、たとえ売上が伸びていても、その伸び率以上に人員や人件費その他の計日が伸びていたり、粗利益や限界利益の伸びが売上の伸びを下回っていたりしては、バランスのとれた成長とは言えません。
1)売上高伸率
@この比率は、前期売上に対する当期売上の伸び率を表示するもので、販売量や販売先、製品力(シェア)等の増加の度合いを示す指標として、重視されており、同業者比較、日本経済の成長率 等との比較を行う事により、その屈する産業の将来性を占うのもおもしろいと思います。 A尚、売上高伸び率は、大体10%以上あれば優良とされています。
2)限界利益伸率
この比率は、前期限界利益に対する当期限界利益の伸び率を表示し、利益製品の販売量増加、製品構成の変化等を見る指数とされ、固定費の回収力の増加を見るデータともされています。
3)労働生産性伸率
この比率は、前期社員一人当り限界利益に対する当期の伸び率を意味し、商品力の増加、管理部門人員の増加等を見る指数とされ、人件費に対して何倍の限界利益を上げているかを見る場合の指数とされます。 例えば、
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4)生産性分析 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
会社の収益性の基礎は、生産性にあります。収益力がいかに向上してもそれが生産性の向上に裏付けされたものでない限り、長続きするものではありません。
1)労働生産性
労働生産性は、商品力(限界利益率)の低下、直間比率の悪化、高齢化による人件費の増大、社員数の急増といった要因の変化による生産性の増減を見るのに使用します。 A労働生産性の向上とは、少ない労働の投入を持ってより多くの産出高を上げることを意味しますから、収益性分析や成長性分析を補足するものとして利用されており、
指数についても、物的労働生産性の補助指数として使用されています。 Bまた、労働力一単位当りどれだけの付加価値を産出したかを示す比率として、価値的労働生産性も使用されており、例えば
があります。 (イ)は、従業員一人当りの付加価値産出額を見て、(ロ)は、労働者一人当りにつき時間当りの付加価値産出額を見て、(ハ)は、賃金が経営にとって割高か割安かを判断する資料として利用されています。
2)資本生産性
@資本投資効率
(注)付加価値=経常利益+人件費+金融費用+貸借量+減価償却費+租税公課をいいます。この指標は資本の投入により、企業の活動に加わっている種々の利益関係が生みだし与えた価値をどれだけ産出したかを示します。
A資本装備率
この指標は労働装備率とも言われ、会社の生産合理化の程度を表示し、労働力が企業資本全体でどの程度装備されているかを見る指数です。
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(5)安定性分析 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
経営の安定性(健全性)については流動比率、当座比率、借入金依存率、固定比率、自己資本比率、経営安全率等の指標があります。
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||