創業した事業の成否は、採算経営を実現するための規模に見合う必要利益(必要売上高)を確保することが大前提です。そのためには、創業した事業計画書に基づく行動計画と数値目標を絶えず意識しながら、日々の業務に取り組む事が必要です。従って、最低でも月々の収入と支出について、行動計画を前提とする数値目標と実績データとの比較による業績管理(予算管理とも言います)を遂行する事が必要になります。
即ち、日々の取引記帳(システム入力)をしっかりと実施して月次決算を断行する事(月次試算表の作成)で、月々の結果に対する課題を適時に把握し、その対応策を実施していく事が起業を軌道に乗せるための仕組みづくりです。そこで、業績管理の考え方と進め方について、概要を見ることにします。
業績管理とは、会社の経営業績を迅速かつ的確に把握し、業績管理資料を効果的に活用して、経営業績を向上改善させていくための経営の仕組みを言います。
毎年1月の仕事始のときに「今年は目標利益500万円をめざそう!」と決意し、それから1年後の12月暮れに、「今年は達成利益100万円だったのでまた来年は心機一転して何とか頑張ろう!」などと毎年同じパターンで終わっているようでは、経営改善はできません。
このような行動パタ−ンには、結果の確認しかなく毎日、毎週、毎月、隔月、4半期、半期といった途中結果に対する確認、そしてその確認に基づく改善がなされておらず、戦略的経営がサイクルとして有機的に結びついていないわけです。
いわゆる「やりっぱなし」状態です。そこで、「行動計画」、「数値計画」として作成した創業計画を実行し、確認し、改善していくための具体的な方法が業績管理という事になります。
作成した行動計画の内容に基づいて、随時進捗管理を行い、少なくとも週単位、あるいは月単位で全体での確認を行う必要があります。
確認した結果、未達の項目があった場合は、改善のための対応策を検討し、5W2Hにより、できるだけ明確に定めます。
要は、目標項目の実施状況を確認し、反省点として把握した課題をどのようなやり方で是正していくかを明示する事が重要です。
行動計画を前提として作成した「数値計画」の内容は、一般に予算と呼ばれています。この予算数値を基礎として業績管理を行う手法を予算管理といいます。
予算管理は、予算編成と予算統制の2つから成り、予算編成とは、次の期間に企業が存続していくための必要売上と必要利益をあらかじめ予測して、予算としての変動費と固定費を設定する事をいい、予算統制とは、予算(目標)値と実績値との差異分析を言います。
なお、予算管理を効果的に行うには、目標値と実績値の差(ギャップ)はどうなるのか一目で解るように工夫した様式を用いる事が大切です。
<予算と実績との差異分析及びその対応策のポイント>
予算統制における差異分析のポイントは、以下の通りです。
業績管理の目的は、事業上の業績を把握して、業績を向上改善していく事ですから、作成される業績管理資料も解り易く必要最低限のものでなければなりません。細かな分析データにこだわるあまり、数多くの報告資料を作成しても、活用されなければ意味がありません。
要は、目標とする取組み課題の進捗状況が解れば良いのですから、なるだけシンプルな作成を心掛けましょう。だたし、重要性の高い取組み課題については、必要に応じて掘り下げたか確認資料の作成を準備しましょう。なお、業績管理資料の構成内容は以下の通りです。
<業績管理資料作成上の留意点>
業績検討会議は定着しないとその機能を果たす事はできません。業績検討会 議と名がつくと皆さんは少し引いてしまうかも知れませんが、最初は{ちょっとした確認・話合いの場}的にとらえて、徐々に充実していくようにしてください。例え、事業が家族だけの運営であったとしても、目標と実績の差異を確認して改善するための一手を家族全員で話し合う場を定期的に開催し、業績検討会議の定着化を意識的に取り組みましょう。この仕組みを構築する事が、創業した事業を確かなものとしていく第一歩です。