事業の拡大あるいは創業時の自己資金不足から必要資金を賄うために借入金を調達する事がありますが、借入金は返済しなければならないと言うことです。ところで、認識しておかねばならないのが借入金の返済資金は何で賄われるのか?と言うことです。借入金の返済財源は利益であるという事をまず認識しましょう。利益は、売上高から仕入費用や通常の支払経費(電気、ガス、水道、交通費、リース料、人件費、保険料、減価償却費、租税公課、支払利息等の固定費)等を差し引いた残額を言います。事業経営は、この必要利益を得るために自身の事業規模を知り、その事業規模を維持するための必要売上高を確保するための採算経営を維持していく事が求められます。
従って、月々の借入返済額を賄うためには月々の利益が月々の返済額を上回っているかを確認する事が必要となります。最低でも月々の減価償却費+利益の合計額が月々の返済額を上回っていることが必要になります。つまり返済計画は、月々の必要売上高を前提にして策定することになる訳です。
月々の必要売上高=(月々の固定費+月々の借入返済額×2)÷限界利益率
固定費とは、事業経営における販売活動が行われようが行われまいが、必ず発生する費用です。代表的な費用としては、人件費、水道光熱費、通信交通費、維持管理費、接待交際費等があげられます。
借入返済額を2倍するのは、利益に課される税金が国税及び地方税合わせて50%程度ある事を考慮しています。
限界利益率とは、売上高−変動費(代表的な費用は仕入高があげられます)の残額を売上高で割った値ですが、月々の平均的な粗利益率を使用しても良いと思います。
月々の必要売上高を算定したら、それを稼ぎ出すために必要な変動費並びに固定費の見込支出額を算定します。これを、費目ごとに割り当てて、当月の必要売上高を稼ぐための必要な活動予算として設定し、この予算の範囲内で各費目の月々の支出額を決定していきます。
月々の返済調達見込額=月々の必要売上高−月々の変動費−月々の固定費
即ち、月々の返済調達見込額が月々の借入返済額を上回っている限り、返済資金は賄われている事になります。最低でも月々の減価償却費+月々の利益の合計額が月々の返済額を上回っていることが必要です。即ち返済計画は、月々の返済調達見込額を前提にして策定することになります。
創業後、創業者は日々の売上、仕入、資金繰りなど気にかけなければならないことが数多くありますが、創業後の数か月は日々の営みに慣れるのに精いっぱいで、創業(返済)計画の内容と実績との差異を確認する事が後手に回る場合がほとんどです。従って、計画の進捗状況の確認や課題の抽出、その課題解決を行うための手立てをタイムリーに実施するためにも月次決算を断行しましょう。