(5)豚肉の料理
豚肉料理の基本には、「和える・焼く・煮る・揚げる・炒める」 の5つがあります。
それぞれの基本形にそって代表的な豚肉料理を紹介したいと思います。
1)和える
豚肉料理の和え物は、必ず前もってゆでる、あるいは蒸したり、焼いたりして、火を通して使います。
和え物の多くは前菜として出すので味はやや濃いめで、からし、ラー油、トウバンジャン、さんしょうなどで辛みを効かせるものが少なくありません。
冷采なので作りおきができますが、美味しく食べるコツは食べる直前に和え衣をかけたり、混ぜたりすることです。
豚肉の和え物料理としては、{豚肉の冷製にんにくソースがけ}があります。
<豚肉の冷製にんにくソースがけ>
{作り方の手順}
- 豚肉は酒をかけ、ねぎ、しょうがを載せて1時間ほどおく。
- 鍋にたっぷりと湯を沸かし、ねぎ、しょうがを入れ、湯の表面がおどらない程度の火加減で[1]の豚肉を約15分間ゆでる。肉が熱いうちにごく薄い削ぎ切りにする。
- きゅうりは皮付きのまま薄切りにし、冷水に落としてパリッとさせる。張りが出たらざるにあげ、水気をふき取る。
- 皿に豚肉の薄切りを1枚ずつきれいに並べ、中央にきゅうりの薄切りを盛る。
- 最後に、味付けした汁をかけ、ラー油をたらす。
<味付け汁の作り方>
しゅうゆ、酒、砂糖、桂皮、八角、陳皮各適量を混ぜ合わせ、ねぎ、しょうが、にんにく各適量を加えて約1時間、弱火で半量になるまで煮つめます。
2)焼く
焼くは、豚肉料理の基本とも言うべき調理法ですが、焼き方一つで美味しさが左右されるので、細心の注意が必要です。
肉を焼く方法は、直火焼き(グリル)、オーブン焼き(ロースト)、鉄板焼き(ソテー)の3つに分けられますが、どんな肉でも焼く時は、最初は強火で手早く表面に膜を作り、肉のうまみを閉じ込めてしまう事が大切です。
豚肉の焼き料理としては、{焼き豚}があります。おなじみのチャーシューです。
本場広東では、豚肉を串に刺してあぶり焼きにしますが、ここではオーブンで焼く方法を紹介します。しっかりと下味をつけ、表面が少し焦げるくらいに焼いて香ばしさを出すのがポイントです。<家庭用焼き豚>
{作り方の手順}
- 豚肉は繊維にそって1cm厚さの板状に切り、重曹にまぶして30分間置く。
- 砂糖、塩、しょうゆ、オイスターソース、テンメンジャン、ごま油、卵、エシャロットで作った下味の中に[1]の豚肉を30分間つけ込む。
- 砂糖、麦芽糖、水を混ぜあわせて火にかけ、蜜汁を作る。
- [2]の豚肉を220度のオーブンで20分程度焼き、いったんオーブンから出して[3]の蜜汁にさっとつけ、余分な蜜汁を落としてから、再び220度のオーブンに入れ5分間程度焼く。
- [4]が焼きあがったら、仕上げにもう一度蜜汁をかけ、しばらくつるして余分な蜜汁を落とす。
- [5]の肉を適当な大きさに切って、皿に盛り付けて、付け合せと香菜をのせる。
<付け合わせ五香黄豆の作り方>
{作り方の手順}
- 大豆50gを一晩水につける。
- 500ccの水に塩大さじ2分の1を加え、[1]の大豆の水を切って入れ、弱火で柔らかくなるまでゆでる。
- 水200cc、氷砂糖100g、しょうゆ小さじ1、八角、甘草、桂皮、草果各少量を鍋に入れ、[2]の大豆を弱火で煮る。
3)煮る
写真はイメージです。
豚肉の煮物は、薄切りの肉をさっと煮るものと、厚めの肉を柔らかく味濃く煮込むものとがあります。
脂身のくせを和らげて風味をつける味噌、とろりと柔らかく味をしみ込ませた角煮など、コツさえ覚えれば上手にできます。
いずれも肉の臭み抜きがポイントですが、下ゆでするとか、酒やみそ、しょうがなどで調味する事が大切です。
豚肉の煮物料理としては、豚バラ肉の角煮があります。脂身の多いばら肉を角切りにし、長時間かけてトロトロになるまで煮込む料理です。バラ肉の脂をいかに抜くかがポイントになります。
<豚ばら肉の角煮>
{作り方の手順}
- 豚ばら肉を7cmに角切りし、フライパンで焼く。表面にしっかりと焼き色をつける。
- 鍋にたっぷりと水を用意して、[1]の豚ばら肉とおからを入れて火にかける。細い竹串がスッと通るようになるまで弱火でゆでる。
- [2]がゆで上がったら水にさらして冷まし、表面についたおからやあくを洗い流す。
- たっぷりと熱湯を用意し、[3]の豚肉を1時間ゆでる(おからは入れない)。
- 鍋に[4]の豚肉とだし汁、酒を入れて火にかける。沸騰したら弱火にし、マーマレードと砂糖を加え、1時間煮込む。
- [5]に濃い口しょうゆ、たまりしょうゆを加え、煮汁が3分の1になるまで煮込む。
- 添え物のそら豆は、薄皮の黒い部分を爪で剥ぎ取る。塩を加えた熱湯で約3分間ゆで、手早く冷水に取ってさまし、薄皮をむく。
- [7]のそら豆を[6]の鍋に入れて温め、器に盛る。練りがらしを添えて供する。
4)揚げる
写真はイメージです。
豚肉を揚げる場合、パン粉をまぶしたフライ、てんぷら状の衣をつけたフリッターなどがあります。
ポイントは揚げる油の温度で、約170度でじっくりと中心まで火を通してから、最後は強火にすると油ぎれもよくカラッと揚がるでしょう。豚肉の揚げ物料理としては、豚ヒレ肉のカツレツ、豚ロース肉のとんかつ、豚ひき肉のメンチカツ等が代表的な揚げ物料理です。
今回は、カリッと揚げた豚肉を使用して作る酢豚の作り方を説明します。
<古老肉(酢豚)>
{作り方の手順}
- 豚肉は、3〜4cm幅の薄切りにし、塩、重曹、卵、沈殿片栗粉をまぶして下味をつける。
- ピーマンと赤ピーマンは種を除き、一口大に切る。また、パイナップルも一口大に切る。
- ねぎは3cmの長さに切り、にんにくはみじんに切る。
- 作成した[2]、[3]の材料を湯通しする。
- [1]の豚肉に片栗粉をつけ、粉を落ち着かせるため水をふり、中温の油で揚げる。
- 甘酢あんの調味料を合わせておく。
- 鍋に、[6]の調味料を入れて少し煮詰め、水溶き片栗粉でとろみをつけたとろに[4]、[5]の材料を入れて全体に甘酢を絡ませる。これにごま油を加えて香りをつけ、仕上げる。
<甘酢あんの作り方>
甘酢あんは、しょうゆ、酢、酒、水、ケチャップ、砂糖、塩を適量ずつ合わせて作ります。
5)炒める
炒めるとは、フライパンや中華鍋を使って、豚肉のもつ油を活用しながら加熱する調理法をいいます。
豚肉の炒め料理としては、豚肉の野菜香味炒めが代表的です。豚肉と野菜を炒めるときには、まず豚肉から炒めるのが原則です。
基本的には、豚肉はしっかりと火を通し、野菜などの水物はさっと火を通すイメージで炒めます。野菜を使用する場合の炒め料理のポイントは、どの段階で野菜を炒め始めるのかの見極めにかかっています。
豚肉は、炒め続けると硬くなってしまうので、注意しましょう。
ここでは、豚肉のポン酢炒め料理を紹介します。
<豚肉のポン酢炒め>
{作り方の手順}
- 豚のモモ肉を食べやすい大きさに切り、ボールに入れて、酒としょうゆを加えて漬け込む。
- 玉ねぎはくし形切り、長ネギは長さ4cmの斜め切りにする。えのきだけは長さ4cmに切り、万能ねぎは長さ2cmに切ります。
- フライパンにサラダ油を適量入れて中火で熱し、[1]の豚肉を入れて炒めます。豚肉の色が変わったら、玉ねぎを加え、透き通るまで炒めます。
- 長ねぎとえのきだけを加えてさっと炒め、ポン酢じょうゆを回し入れて具に絡め、火を止めます。器に盛り、万能ねぎを散らすと完成です。カロリーも少なめですから、ダイエット料理としてもお勧めです。
- なお、玉ねぎをキャベツ、長ねぎをもやし、えのきだけをしめじに替えてもおいしいです。